大切な荷物を守り、共に旅をするスーツケースには、耐久性や軽量性を求めて様々な素材が使用されている。
ハードスーツケースでは、
・ABS素材
・ポリカーボネート
・ABS+ポリカーボネート
・アルミニウム
の4つの素材が主流になっている。
一方、ソフトスーツケースの方では、
・ナイロン、
・ポリエステル
・バリスティックナイロン
の3種類が主流だ。
スーツケースを探していると、素材の部分にこれらの素材名が頻繁に登場しているので、目につくことが多いだろう。以下で解説しているそれぞれの素材の特徴を理解するとスーツケース選びが楽になる。
スーツケースに使用する素材の比較表
以下からそれぞれの素材を詳しく解説する。
ABS素材
概要
安価なハードスーツケースでよく使われている強化プラスチック素材だ。耐久性が高く信頼性の高い素材だ。熱に弱く70度程度から劣化が始まってしまうが、普通に使用している分には問題ないだろう。
素材の開発が進化している現在において、他の素材と比べてしまうと劣っている部分が多いのだが、耐久性などの基本的な性能は高いので、ABS素材を利用しているスーツケースでも問題なく利用出来る。
メリット
・安価に手に入る
・耐久性も問題ない
デメリット
・他の素材を利用した同じ強度のスーツケースと比べると、重くなる傾向にある
・日光によって劣化していく
こんな人におすすめ
多少重くなっても、安価にハードスーツケースを手に入れたい方にお勧めだ。また、耐久性に関しても、他素材と比べると一歩劣るので、安く購入して買い換えていくスタンスで購入することをオススメする。
ポリカーボネート
概要
ポリカーボネートはABS素材よりも丈夫な素材だ。ABS素材よりも少量で同じ耐久性を持たすことが出来るので、結果として薄くて軽くて丈夫と、三拍子そろったスーツケースが生み出される。ポリカーボネートで作られたスーツケースの場合、少量で十分な強度が得られるため、表面がペコペコと凹むほど薄く作られる場合が多い。もちろん、凹んでも直ぐに元に戻るので、スーツケースの強度としては問題ないのだが、中に割れ物をそのまま入れていると壊れてしまうこともある。割れ物を入れる場合は、柔らかい布などの緩衝材で保護してから収納するようにしたい。また、価格はABS素材と比べて高くなる。
最近は質の低いポリカーボネートも出回っているようなので注意したい。少ししかポリカーボネートを使わず、価格を抑える代わりに耐久性が全く無いスーツケースなどもある。素材を信じきることはせず、周りの評判や実際に触った時の感覚も大切にすると良いだろう。
メリット
・耐久性が高い
・耐久性と軽量性を両立したスーツケースを作ることができる
デメリット
・価格が高い
・耐久性が高いため、薄く作られることが多く、スーツケースがペコペコと凹むことが多い。
・日光によって劣化していく
こんな人におすすめ
軽くて丈夫なスーツケースが欲しい方にオススメだ。ABS素材に比べて値段は高くなる傾向にあるが、フットワーク軽く旅行をすることが出来るだろう。また、軽量だと機内持ち込みや受託荷物の重量制限に引っかかることが少なくなるので、旅先での買い物も思い切り楽しむことが出来るだろう。
リモワなど一流ブランドではポリカーボネートを利用したスーツケースが発表されている。
ポリカーボネート+ABS(強化プラスチック)
概要
ポリカーボネートとABS樹脂の合成素材。ポリカーボネート100%より安価に、ABS樹脂よりも丈夫で軽いスーツケースを提供している。ポリカーボネート100%よりも重いが、価格を考えると有力な選択肢になる人も多い素材。また、各社ポリカーボネートとABS樹脂の配分比率を工夫していて、軽さと耐久性のバランスはスーツケースによって様々だ。
メリット
・ABS素材単体よりも耐久性が高いことが多い
・耐久性と軽量性を両立できる。
・ポリカーボネート100%よりも安価なことが多い
デメリット
・ポリカーボネート100%に比べると重量が重いことが多い
・日光によって劣化していく
こん人におすすめ
予算は抑えつつ軽くて丈夫なスーツケースを購入したい場合、ポリカ+ABS合成樹脂を利用したスーツケースは選択肢に入ってくるだろう。ブランドによって配合の割合が異なるので、素材だけでは判断しにくいので、ブランドの評判や、実際の重量などから購入を判断したい。
おすすめのブランド一覧はこちら
【旅のプロが厳選】スーツケースのおすすめ人気ブランドランキング
アルミニウム
概要
スーツケースの王道素材。大切なものを守る鞄といえば、ジュラルミンケースを思い浮かべる人も多いのでは。値段は高くなるが、とても丈夫。ABS樹脂やポリカーボネートといった強化プラスチック素材よりも耐久性が高く、劣化もしにくい。アルミニウムを使ったスーツケースは、比較的長く使い続けられるだろう。
ハードスーツケースの縁のみにアルミニウムを使用しているスーツケースなども存在する。
メリット
・金属なので、プラスチック素材に比べて劣化がしにくい
・凹んでも強度があまり変わらない。プラスチック素材は、凹んだ部分の強度が著しく落ちてしまう
・耐久性が高い
・金属の中で最も軽い素材
デメリット
・プラスチック素材に比べて重い
・価格が高い
こんな人におすすめ
耐久性があり、長く使用できるスーツケースが欲しい方にお勧め。初期投資は高くつくが、その分耐久性が高く長持ちするので、きちんとメンテナンス(特にキャスター部分は定期的にメンテナンスをしたい)をしていけば、最終的には安く付くこともある。
デザインも流行りに左右されないものが多いので、長く使うのに適している。スーツケースを育てる喜びを最も味わえるのはアルミニウムのスーツケースだろう。
ナイロン
概要
安価なソフトスーツケースでよく使われている素材だ。ハードスーツケースに比べて強度は低いことが多いが、値段は抑えられる。水に弱く、雨が中に染みこみやすいので、撥水スプレーなどをつけておくことをお勧めする。
メリット
・安い
・軽い
デメリット
・耐久性/防犯性が低い
・水に弱い
・劣化しやすい
こんな人におすすめ
急ぎでスーツケースが必要な方で、使い捨て感覚で購入したい人におすすめの素材だ。
ポリエステル
概要
ナイロンと同じような価格帯の素材だ。ナイロンに比べて手触りの固い素材で、摩耗には弱いが衝撃吸収力には優れている。こちらも水には弱いので撥水スプレーなどをつけておくと良い。
メリット
・安い
・軽い
デメリット
・耐久性/防犯性が低い
・水に弱い
・劣化しやすい
こんな人におすすめ
急ぎでスーツケースが必要な方で、使い捨て感覚で購入したい人におすすめの素材だ。
バリスティックナイロン
概要
バリスティックナイロンは、通常のナイロンの5倍の強度を持つと言われる、軍事用に開発されたナイロンだ。防弾チョッキなどにも利用されていた程強度が高く、耐久性/防犯性に優れている。重量もハードスーツケースに比べて軽いので、軽くて丈夫なスーツケースの代名詞といえるだろう。
メリット
・耐久性/防犯性に優れている
・ハードスーツケースに比べて軽いことが多い
デメリット
・経年劣化は避けられない
・雨が染みこんでしまうことがある
こんな人におすすめ
軽くて丈夫なスーツケースを探している方におすすめだ。耐久性は高く、ハードスーツケースと比べても何ら見劣りすることはなく、そこそこのハードスーツケースよりもむしろ高い。
素材以外にも、スーツケースを選ぶ基準は複数ある。スーツケース選びはこちらから理解するようにしたい。
スーツケースの選び方
また、同じ素材でも、ブランドに依って質は違ってくるのであくまで参考とすると良い。おすすめブランドは以下で説明している。