日本の観光庁の調査によると、4割を超す人がお盆休みに実家に帰りたくないと回答しており、その内、約26%が「配偶者の親や親戚に会いたくない」ことを理由として挙げている。会いたくないとまでは言わないまでも、違う文化と触れるストレスや、評価の目にさらされる重圧を感じたことのある人は少なくないのではないだろうか。特に問題となりやすいのが嫁姑関係で、姑には姑の昔から培ってきた中で最善と見出したやり方があり、嫁には嫁で自分の生まれ育った家庭や時代の流れを取り入れたやり方があり、これらは水と油のように、簡単には混ざり合わないものだ。時には夫には何の不満がなくても、嫁姑関係が元で離婚が選択される場合すらある。このようなことは日本特有なのだろうか。海外の嫁姑関係を海外現地在住ライターがリポートする。
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【韓国】韓国の嫁・姑関係は、根強い女性蔑視が根底に有る
(現地在住ライター キム・ヒョンジ)韓国でも嫁・姑関係は、嫁にとって気の休まらないストレスだ。そして、日本を基準に考えたら、韓国は地獄絵図のようだと言っても過言ではない。それでも都市部は、核家族化が進み親との同居が減っているからまだ良い方だ。この都市部で親と別居している嫁と姑関係を例に取って、韓国の嫁姑問題を説明する。
最低でも月に1回は、家族を連れて夫の実家に行く。週に1回以上は、ご機嫌伺いの電話をする。もし、忘れていると姑から掛かって来る。勿論、嫌味や小言を言われる。そして、姑と2人で昼食を食べたり、買い物をする。これを怠ると、姑が息子の家にやって来る。前触れもなく、突然来る。不在だと、勝手に中に入って待っている、息子の家は自分の家と同じなのだ。
この位はまだ良い、嫁にとっての試練の場は、旧正月、旧盆、それと、祖父母の命日だ。この祭祀の準備が、とてつもなく大変だ。普通の家庭でも3日前位から用意をするし、各家ごとに少しづつやり方が違う。この場では、嫁は絶対服従の奴隷に近い。この嫁・姑問題の根底に有る原因の1つが、女性蔑視だ。韓国では、男尊女卑の文化が昔からあり、今も根強く残っている。女性が強くなれば、この問題も徐々に改善して行く事だろう。
【イギリス】妥協をし支えあう関係
(現地在住ライター バックリー佳菜子)
イギリスでも日本のように子育て方法を巡って嫁と姑が対立するというのはよく聞く話である。しかしながら、日本ほど嫁姑という関係がストレスになっているという印象は受けない。これにはイギリスの育休制度や出産後の女性の職場復帰率、また若い世代が家を買えない現状が関係していると思われる。
イギリスでは子供を産んで1年ほど育休を取ったあと職場復帰をする女性がほとんどである。しかしながら2歳以下の子供を保育園に入れるとなると、ほとんどが私立の高額な保育園に入れざるを得なくなる。経済的に余裕がない場合、私立の保育園の代わりに姑にあたる祖母に子供を預けて働きに出ている女性はたくさんいる。姑の子育て方法の違いにお互い不満があっても、お互い妥協して協力しあうのが一般的だ。
また不動産の値段が上がり続けているイギリスでは、若い世代が自分達だけで住宅ローンを組むのが難しく、舅姑と同居もしくは金銭的サポートを受けて家を買うカップルが多い。そうなるとやはり多少の意見のすれ違いはあってもお互い支えあいながら暮らしていくしかないため、日本ほど対立しないのではないだろうか。
筆者も長女を出産した際、スペインに住む義理の母に付き添ってもらい、産後はしばらく家事をしてもらった経験がある。子育ての際にはやはり経験者の姑に手伝ってもらってよかったと思っている。