国際化が進み、衣食住は欧米式への同質化が進む一方で、冠婚葬祭は未だに宗教・文化の背景を色濃く残している。日本でも、65.3%の人が教会での結婚を選び、欧米式かと思いきや、結納の文化が残っていたりと、独自の進化を遂げている。また、同じ日本でも地方によって結婚式は微妙に異なり、名古屋の結婚式はとにかく豪華だという話や、沖縄では数百人を呼んで宴が開かれるという話を聞いたことはないだろうか。単に宗教の問題ではなく、時代背景や文化と深く関連しており、多種多様だ。そうなると、海外の結婚式は日本とは全く違うものであることは想像に難くない。海外現地在住ライターが海外の結婚式事情をリポートする。

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【ブラジル】パーティーは終わらない

(現地在住ライター 増成かおり

日本では、小規模にしたり簡素にしたりして行う「地味婚」が増えているというが、ブラジルでも都市部にその傾向がある。ブラジルのある結婚式プランニングサイトの調査では、結婚式にかかる費用の平均は約124万円。80人から120人を招いているという。これは地味婚の影響を受けた数字だろう。元々、カトリックの国ここブラジルでは、教会でクラシックな式を挙げ、大勢招いてパーティをするのが伝統だ。

パーティーでは、延々と流れる新郎新婦のプロフィールムービーをバックに、ステージの上でバンドが大音響で演奏し続け、新郎新婦も招待客も飲み踊る。どんなに厳かに式を行っても、パーティーには別世界が広がっているのだ。
 
その招待客が勝手に自分の家族や友人を連れていくことはよくあるし、急に欠席することもある。 不確定な客数に対応するため料理はビュッフェスタイルだ。濃いメイクとドレスで着飾った女性も含め、みんな皿を手に料理の列に並ぶ。その間をウェイターが歩き回り、美しくデコレーションされた会場は、あっという間に混沌としていく。

私はおととし、夜7時からの結婚式に仲人として出席し、翌朝2時までパーティにいた。招待客は400人はいただろう。新郎新婦は3時半までいて、踊り続ける人々をそのままにして帰ったという。

私が結婚した時は夜1時半までいた。サンパウロ州の田舎での20年前の話だ。町の古い教会での式の後、パーティーには500人以上が来てくれていた。夫が日系人なので、料理には町の日系女性たち手作りの巻きずしや煮しめもふるまわれた。しきたりに則り、招待客一人一人にしたキスとハグでの挨拶に、最後には疲れて泣きそうだったことを覚えている。

夜通しのパーティーは決して珍しいことではない。この国では、結婚するのも招待されるのも体力勝負なのだ。

【韓国】さっぱりとした韓国の結婚式

(現地在住ライター キム・ヒョンジ

韓国の結婚式は、日本に比べるとさっぱりとしている感じだ。教会で結婚式を挙げるカップルは稀だ。両家が敬虔なキリスト教徒でもない限り教会で結婚式を行わない。平均的な結婚式は、結婚式場で行い、人前式で宗教色の無い結婚式だ。派手な演出の披露宴や、お色直しも無い。時間的にも、30分から長くても1時間以内と言ったところだ。

出席する人も、新郎新婦との親密度によって変わってくる。簡単に言うと、実家の近所の人から、ちょっとした知り合いまで沢山の人が、お祝いにやって来る。親密な関係の人は、結婚式に参列するが、それ以外の人は、結婚式の様子を簡単に覗いて、すぐに食事に向かう。

食事のスタイルは、ビッフェ式が普通で、食べ放題飲み放題だ。そこには、モニターが置いてあり結婚式の様子が映し出されているが、食事の方が忙しくて誰も見ていない。お祝いに駆けつける人が、楽に300人を超えるのが普通なので、食事も慌ただしい。次から次へと人がやって来ては、食事を済ませて帰って行く。

ご祝儀は日本円にして、5000円から10000円程度。引き出物や、お返しは無い。簡単に、お祝いの気持ちを伝えに行くだけと言ったところだろう。

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【イギリス】様々な宗教・人種が住むイギリスならではの結婚式

(現地在住ライター バックリー佳菜子

筆者の住むイギリスで結婚式を挙げる場合、基本的には登記官による結婚の登記ができる場所であればどこでも式を挙げられる。そのため結婚式が行われるのは教会・登記が可能なホテルの式場・地域の登記所などが一般的である。教会で行われる式は宗教的な意味も含めた結婚式となるため、プロテスタントであればプロテスタントの教会で、カトリックであればカトリックの教会で結婚式を行う。また教会によっては、親族にゆかりがある人でなければ結婚できないなど、厳しいルールがある教会もあるのが日本とは大きな違いであろう。

筆者はイギリス人の夫とイギリスで結婚式を挙げたが、私が外国人のため当時住んでいた地域の登記所で結婚式をあげた。このように外国人カップルの結婚式や同性カップルの結婚式は登記所で行うことが多いようだ。結婚式では式中に婚姻届けに記入をし、式が終わると婚姻届け受理証明書が発行され、正式に結婚した夫婦となる。

ご祝儀のような風習はなく、基本的には費用はすべて結婚するカップル負担で、出席者はプレゼントを贈るのも日本とは違う点だろうか。