日本国内ではバレーボールといえば国民的大人気スポーツの一つであり、かつては日本のお家芸と呼ばれて親しまれてきた。また、サッカーやテニスほどとは言わないまでも、国際的にも人気のあるスポーツだという認識を持つ日本人も多いのではないだろうか。しかし実のところ、バレーボールの国際大会の半数近くは日本で行われ、日本からもたらされる放映料やスポンサー料無しでは大会運営も儘ならないと言われる。実際、日本チームの試合だけは他国チームの試合よりも休憩が多く、これは日本チームの試合だけ生放送され、CMが間に入るためだ。また今年5月のリオデジャネイロオリンピック予選大会では、日本と対戦したタイチームに2枚のレッドカードが与えられ、タイの監督は日本の特別扱いを示唆した。実際のところ、バレーボールの人気が高いのは日本だけなのだろうか?海外現地在住ライターがリポートする。

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【イギリス】幼少期からなじんでいるからこそ影響力も大きいのでは?

(現地在住ライター バックリー佳菜子

筆者の住むイギリスではバレーボールはどちらかというとマイナースポーツである。バレーボールの国際大会がテレビで放送されることももちろんないため、バレーボールという名前は知っているが、実際の試合を観戦したことがある、もしくは日常的にバレーボールをプレイしている一般人はほぼいないというのが現状だ。

この理由に関して、幼少期からの親しみ方が日本と全然違うからなのではないかと考える。日本では学校の体育の授業でバレーボールをしたり、部活動でバレーボールをすることが広く受け入れられているため、日本人のほとんどはバレーボールのルールを理解しているし、テレビで国際試合があれば人気が出るのであろう。しかしイギリスの学校で体育の授業と言えば(学校によっても差があるが)ラグビーやホッケーなどをプレイすることが多く、バレーボールは全く行われていない。そのためイギリス人の多くはバレーボールというスポーツ自体に全くなじみがないため話題にならないというところだろうか。

しかし筆者は2012年ロンドンオリンピックで女子バレーボールの試合も観戦することができた。その際会場にはたくさんのイギリス人が訪れ、華麗なアタックが決まるたび会場で歓声が上がり、大いに盛り上がっていた。その国で人気があるかないかに関わらず、バレーボールはたくさんの人が楽しめるスポーツであることに変わりはないと言えるだろう。

【ロシア】ロシアではバレーボールは観る競技よりやる競技

(現地在住ライター チェルカーソワ・ユーリヤ

ロシアでのトップ人気の観賞スポーツはサッカーやホッケー、テニスやフィギュアスケートなどであり、バレーボールは日本ほど人気ではない。テレビでもオリンピックなどの大きな大会の最終試合くらいしか見せない。当然個人的に好むファンはいるが、他のスポーツに比べると少ない。

しかし、最近健康生活ブームのロシアではいろいろなスポーツが実際の生活の中で人気を上げている。バレーボールもそのうちの一つで、実際にプレーをする人のほうが、テレビなどで見る人よりはるかに多い。特に若者の間では人気で、夏は川や池などのビーチで、冬は近所の体育館やジムなどで気楽に楽しむ人が多い。人気の理由はボール一個あればどこでもできるということ。バスケットボールであればリングが必要で、サッカーやテニスはグラウンドがないと怪我してしまう。しかしバレーボールは柱2本にひも一本結び、ボールがあればできるためお金もかからなければ、場所もほとんど選ばない。また、外で気楽にできる競技ということで、学校の体育の授業でも頻繁にやるため、たいていの人はルールも知っている。それらが、バレーボールがロシアで観るスポーツではなくやるスポーツになった最大の理由であろう。

※2016年7月11日FIVB発表のバレーボール世界ランキングによると、ロシア男子は世界3位(日本は14位)、ロシア女子は世界4位(日本は5位)