日本では女性が男性に対してチョコレートを主としたお菓子を贈る日として発展してきたバレンタインデーだが、近年では友達同士で交換したり、家族で贈りあったりと進化を遂げている。
バレンタインデー文化が以前からあった欧米や、日本同様に遅れて文化が入ってきたアジア諸国ではどのような日として扱われているのか。海外現地在住ライターがリポートする。
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【アメリカ】バレンタインデーは男性が女性に愛の贈り物をする日
(現地在住ライター 長谷川サツキ)アメリカのバレンタインは、恋人同士や夫婦が愛を確かめ合う日。イベントとしての認知度も高く、新年が明ければあちこちのショッピングモールやスーパーでバレンタインの飾り付けが始まる。ハートの風船、ピンクや赤の花束、そして高級チョコレートから面白チョコレートと、そのラインナップは日本とよく似ている。
ただし日本のバレンタインとは決定的に違う点がある。アメリカでは男性が女性にプレゼントを贈るのだ。そのためバレンタインの定番プレゼントはチョコレート、花束、そして指輪やネックレスといったアクセサリー類だ。お返しをするホワイトデーはない。アメリカ人女性はロマンチックなバレンタインデーを重要視する人が多いので、男性はうっかり忘れたら一大事だ。
アメリカの男性陣に日本では女性が男性にプレゼントを贈る旨を伝えたところ、「すばらしい!アメリカもそうすべきだ」「男は贈る側ばかりで云々」とひとしきり盛り上がっていた。ちなみに我が家は夫の意向により日本式バレンタインデーが採用されている。
【台湾】台湾のバレンタインは男性が大忙し!
(現地在住ライター 山田純)
台湾にはバレンタインが二回ある。日本と同じ2月14日と旧暦の7月7日、七夕の日だ。そのため、2月14日のバレンタインを「西洋バレンタイン」と呼ぶこともある。もともとバレンタイン(七夕恋人の日)が存在していたところへ更に西洋からも入ってきたため、もしかすると台湾人は日本人よりもバレンタインというイベントに馴染みやすいと言えるかもしれない。
そんな西洋バレンタインを情熱的な台湾のカップルたちはどのように過ごすのか。台湾では台湾女性を表現する際に、「公主病」と言葉が用いられることがよくあるのだが、「公主」とはお姫様のことで、つまりは「お姫様体質」のことである。そんなお姫様を喜ばせるため、普段から言いなり、いえ、レディーファースト?フェミニスト?の台湾男性はバレンタインにはプレゼントやレストランの準備に必死になるのだ(女性から男性へ、もしくはカップルで贈り合う場合もある)。
花やチョコレート、高級レストランでの食事の他に、ペアグッズ、オーダーメイドの写真入り、名前入りグッズなどを贈ることが多いのも熱々の台湾カップルならではと言えるだろう。
【ブラジル】6月のバレンタイン
(現地在住ライター 増成かおり)ブラジルでは、2月14日のバレンタインデーはほとんど知られていない。代わりにそれにあたるのが6月12日で「恋人の日」と呼ばれている。
この日、おしゃれなレストランに出かけたりプレゼントやカードを贈り合ったりしてこの日を楽しむのは、恋人同士だけでなく結婚した夫婦も同じ。家族や友人同士よりカップルで過ごす日なのだ。
「恋人の日」に向け、ショッピングセンターは販売商戦を繰り広げレストランはカップルで賑わう。プレゼントはチョコレートに限らず、相手が気に入りそうなあらゆる物の中から選ばれる。定番は服やアクセサリーだろうか。
「恋人の日」翌日は、キリスト教で結婚や縁結びの聖人とされる「聖アントニオの日」。それにあやかる意味もあるが、1年で最も財布の紐が緩むクリスマス商戦が終わって半年。この時期に向けて購買意欲を刺激するイベントを設けたかった小売業界が仕掛けたという話を聞いたことがある。父の日、母の日、子供の日、クリスマス。そして恋人の日。ブラジルの人々はプレゼントを買うのが大好きなのだ。