韓国の犬食や、アボリジニの昆虫食など、日本人からして目を疑ってしまうような海外の食文化は数多い。他方、海外の方から見て驚愕するような日本食もあるのではないだろうか。海外に住み、外国人に対して日本の料理を振る舞ったり、一緒に日本食を食べに行く機会の多い現地在住ライターがリポートする。

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目次

【フランス】納豆が不人気トップ!ネバネバ、糸引く系が苦手

(現地在住ライター 竹内真里納豆(norikko / Shutterstock.com)

随分と日本食が消費されるようになったパリ。以前は日本人の利用が目立った日本食材店も、現地民の客が圧倒的に増えている。

これだけ日本食ブームが起きていても、なかなか受け入れられていないのがダントツ1位で納豆だ。まず見た目がダメらしい。ネバネバと糸を引いて気持ち悪いし、匂いも嫌だと言う。同様にネバネバしている様子からめかぶもダメらしく、食べていると露骨に嫌な顔をされたりする(海藻がとれるブルターニュ地方では馴染みがあるため、ブルターニュ人は平気そうだ)。全体的にどうもフランス人は糸引く系が苦手らしい。某番組で参加者が世界のゲテモノ料理を食べさせられるコーナーがあるのだが、納豆もその扱いだった。

意外なところで味噌汁がダメな人もわりといる。「こんなまずいものは軍隊(兵役)時代すら食べたことがない」とコメントがあり、個々の感覚というのは実に様々だなあと感じさせられている。

【イギリス】焼き魚や焼き鳥など人気料理の中にも意外なものが

(現地在住ライター バックリー佳菜子サンマの塩焼きと大根おろし(sasaken / Shutterstock.com)

納豆など日本人の中でも苦手な人が多いであろう食材は、海外でも受け入れられないと想像がしやすいと思う。イギリスでも納豆や海苔が苦手な人は多く、筆者が娘の離乳食に納豆を食べさせていたら、イギリス人の夫は耐えらずダイニングルームから退散していったほどだ。

それ以外で意外な所だと、イギリス人に不評なのは軟骨のから揚げや軟骨の焼き鳥串である。なぜわざわざ骨を食べるのか?と理解できない人が多いようである。また内臓が入ったままの焼き魚も苦手な人が多い印象である。イギリスでは生魚を買う時も、カウンターで捌いて内臓を出したものを買って調理することが多いので丸々焼いた魚(秋刀魚など)は、食べるのを躊躇してしまうようだ。

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【台湾】何でも食べるイメージのある台湾人でも無理なもの

(現地在住ライター 山田純卵かけごはん(Nishihama / Shutterstock.com)
スーパーやデパートに行けば手に入らない日本製品はないのではないか、と言うほど、台湾には日本のものが溢れている。納豆だって種類豊富に売られているし、値段に目をつぶれば明太子だって買える。

では懐かしくなるような日本食なんてないのではないか、と思われるかもしれないが、筆者を含めた多くの在台日本人が帰国の際に必ず食べたくなるものがある。それは「玉子かけご飯」だ。しかし、この日本人のソウルフードとも呼べる「玉子かけご飯」は多くの台湾人が驚愕し、嫌悪感を示す日本食の一つでもあるのだ。不自然に賞味期限が長い玉子が売られている台湾では生の玉子を食べるなんて、チャレンジャーでしかない。しかもそれをほかほかご飯にかけて食べるなんて、日本人はどうかしているのか、と言った具合だ。生玉子しかり、馬刺しや蛸の活き造り、白魚の踊り食いなど、何度も日本へ旅行したことのある台湾人でさえ受け入れがたいのが「生ものを食べる」この日本の文化なのだ。

ただ、「蛇を食べる」ことや「血を使った料理」に日本人が驚くのと同じように、「生で馬を食べる」ことや「生きたままの蛸や魚を食べる」ことに台湾人が嫌悪感を抱くのは理解できる。少し意外だったのは「いかの塩辛」である。日本人にとって酒の肴、ご飯のお供の定番とも言える「塩辛」は日本食ならなんでもござれの筆者の夫でさえ嫌がった。別の台湾人に聞いても「いかの塩辛」は気持ち悪い、無理だ、と言う。やはり生で、しかもそれを発酵させていることがどうも受け入れがたい原因のようだ。

しかし、同じ生ものでも寿司は台湾人の大好物。きっといつの日か寿司と同じように生卵や塩辛が受け入れられる日が来るのではないだろうか。食を受け入れることは文化を理解する大きな一歩。台湾で「玉子かけご飯」が食べられる日を期待して止まない。