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イギリス人にとっての「自分の英語」と「よその英語」
(現地在住ライター 竹内奈緒美)イギリスは英語が通用する国のひとつだ。アメリカ英語とは異なる発音・スペリングが特に有名だが、ではイギリス国内での英語の違いや捉え方についてはどうだろうか。筆者が訪れたことのあるスコットランド、イングランド、ウェールズにおける英語と、それぞれの話者が「自分の英語」および「よその英語」をどう捉えているのかをまとめる。
スコットランド
スコットランドの英語は発音が特徴的だ。スコットランドの人々は一般的に気位が高く気難しい、と言われているため、その特徴的な発音について触れるのは避けたほうが良い。彼ら自身も発音の違いを認識しており、それがからかいの対象になり得ることも十分承知しているからだ。
ただ、BBCの子供向けチャンネルではスコットランド英語の番組が必ず1つは放送されているので、イギリスの英語のひとつとして受け入れられているようだ。
イングランド
BBCのニュースで聞かれるような完璧な「クイーンズ・イングリッシュ」ではなくとも、一般的にイメージされるイギリス英語、といえばイングランドで話されている英語を指すだろう。
ただ、バーミンガム方言やニューカッスル方言など、その地域で主流の方言英語もあり、イングランド全体で統一された英語、というものはないように見受けられる。またロンドンなど大都市では観光客も多く、それぞれの母国語に引きずられた発音を耳にすることも多いため、比較的「よその英語」に対する拒絶反応は少ないと思われる。
ウェールズ
ウェールズ語と呼んでも何ら問題がないほど、発音・スペリング共に、いわゆる「英語」とは全く異なる言語が存在している。しかしだからといって、ウェールズ語しか話さないのではなく、我々に馴染みのある英語でも意思疎通が可能だ。ウェールズの道路標識は英語とウェールズ語の併記が一般的である一方、比較的若い年齢層の人たちの間ではウェールズ語が話せることがある種自慢になるようだ。自分たちの言語を大切にしつつ、融通がきく英語をも話すウェールズ人は言語に対して柔軟な考えを持っているように見受けられる。
アメリカ
最後におまけとしてイギリス人にアメリカ英語について訪ねた時の返事をまとめておく。
筆者 「アメリカ英語についてどう思う?」
イギリス人A 「”colour”を”color”とか書いて、頭悪そう」
イギリス人B 「発音がくどい」
イギリス人C 「田舎もんみたい」
アメリカ英語に馴染みのある日本人にとって、これぞ英語!というアメリカ式発音とスペリングは、イギリス人にはかなり不評なようだ。自分たちの英語に誇りを持っているイギリス人の様々な英語に触れて、その違いと面白さを体感してほしい。