シリアの隣国であり、ヨーロッパの入り口にあたるトルコには、2016年3月までに270万人を超すシリア難民や移民が押し寄せており、難民に混じってイスラム国関係者が潜り込む可能性が指摘されている。実際、2016年6月28日にイスタンブールのアタチュルク国際空港で発生したイスラム国関係者によるテロ行為は記憶に新しい。また、テロに限らず、難民・移民の流入による治安悪化も懸念される。これからトルコ・イスタンブール旅行を検討している日本人にはどのような影響があるのか、何に気を付ければ良いのかをHowTravel現地在住ライターがリポートする。
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トルコ・イスタンブール現地の状況
(現地在住ライター 北川富美子)トルコ旅行は海外旅行に行く人々にとって、ヨ-ロッパとはまた違ったエキゾチックな歴史あふれた不思議な国として、大きな市場だった。その証拠にイスタンブ-ルの旧市街にある歴史地区には、ヨ-ロッパ諸国をはじめアメリカ、日本、中国、韓国、ロシア等数え切れないほどの国から毎日多くの旅行者を向かえ入れていた。夏のこの時期になるとスルタンアフメットの坂道は海外からの旅行者で溢れ返り前に進むことが困難なくらいだった。
そんなイスタンブ-ルは稼ぎ時だというのに、溢れる旅行客の姿を見ることが出来なくなってきた。イスタンブ-ルのみに限らず、日本人観光客に人気のあったカッパドキアでも日本人観光客を見る機会さえ難しくなりつつある。
観光名所の一つグランドバザ-ルを訪れてみると日本語の案内が書かれていたあるお土産店には中国語や韓国語が書かれており、明らかに日本からの観光客も激減していることが目に見える。車が渋滞する場所や人が通り行く場所には、家族で物乞いをするシリア難民の姿も目立つようになってきた。隣国で大変な目に遭ってトルコまで逃れてきた人々だ。
長年多くの民族と共存してきた歴史を持つトルコ人には、270万人以上の難民が身近な場所や路上で生活していても、多少の揉め事はあるものの至って平常を保っているようにみえる。難民の中には学校に通っている子供もいるし、生活を支えるため多くのシリア人が安い賃金で職に就いて働いていて、中には自分たちで事業を起こしているシリア人たちも多くなってきた。
トルコ・イスタンブール旅行時の注意点
そんな観光客が激減していくトルコで観光する際に注意することを幾つかかあげてみる。もともとトルコと日本の間には、エルトゥルル-ル号の遭難事件で日本人がトルコ人乗組員を助けた歴史やイラン・イラク戦争でイラクからトルコ政府の働きにより日本人在住者の海外救出を手伝ったこと等の美談があり親日であることが有名であり、本来日本人に対して敵意を抱く人はほとんどいないと言っていい。敵意を抱くどころか、礼儀の正しさや、勤勉な日本人のイメ-ジが浸透しているために、観光客が日本人だと知るととても優しくしてくれる経験を持つ人も多いことだろう。
ただ、観光客が激減していくなか、事業を維持していくことが出来なくなっている業者も多く、少しでも高い利益を得ようと巧みに日本語で話しかけてきて、通常よりも高いお土産店やクラブ等に連れ込む客引き等もいる。実際に傷つけたり殴ったりするような暴力行為に至ることはあまりないため、きっぱり断るか、無視をすれば詐欺等の被害に遭うことはまずない。
また、難民の子供が物乞いをしてくる場面に出くわすかもしれないが、コインがあれば渡してあげると良い。レストランや店の中で執拗にお金を求められて対応に困る場合、店の人に言えば物乞いが外に出るように促してくれる。
●現地で事件に巻き込まれたら
(HowTravel編集部)多民族国家として長い歴史を持つトルコにおいては、シリア難民・移民の影響を多少受けつつも、旅行者の観光に支障をきたすほどではないようだ。
事態が急変する可能性もあるので、大使館の場所や連絡先はしっかり確認しておこう。現地の情報収集を行い、安全第一で観光したい。
■イスタンブール日本国総領事館
TEL: +90 212 317 4600
住所: Büyükdere Cad. Tekfen Tower No:209, 34394 4.Levent/İstanbul