日本では東京でのオリンピック開催が決定してからというもの、良いニュースも悪いニュースも含めて、オリンピックの話題を耳にしない日はないほどの盛り上がりを見せている。他国においても、リオオリンピック閉幕式で、マリオに扮した安倍首相が海外メディアからも評価を受ける等、次回夏季オリンピックが開催される東京に各国報道機関の注目が集まっている。ただ、一般市民レベルに目を移すと、日本でも2012年ロンドンオリンピック閉会時にリオオリンピックのことが報道されていたとは言え、どれだけの人が4年後にブラジルで行われる祭典に注目していただろうか。現地での報道のされ方や現地民の反応について、前々回夏季五輪開催国のイギリスと、前回開催国のブラジルの海外在住ライターがリポートする。
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【イギリス】地球の反対側の異国文化にも関心が?
(現地在住ライター バックリー佳菜子)リオオリンピックでイギリスが獲得したメダル数は67個で世界第2位であった。自国開催の2012年ロンドンオリンピック以上のメダルを獲得したことからも、イギリスでオリンピックへの関心が高いことはもちろん、国としてオリンピック選手育成のために使われている予算の大きさを知ることができるだろう。
そんなイギリスではもちろん2020年東京オリンピックに関しても関心が高い。現在行われているリオパラリンピックでも、イギリス人選手には必ず「4年後の東京での意気込みは?」とインタービューしており、イギリス国民の中に「次は東京オリンピック」という意識が刷り込まれている。
ただイギリスから日本はほぼ地球の反対側となり、多くのイギリス人にとって、日本とは全くの「異国」という印象がある。昨日も魚嫌いのイギリス人パラリンピック選手に「4年後の東京では魚料理しか出てこないかもしれないがどうするのか?」などと真面目にインタービューしており、大きく文化が異なる日本での東京オリンピック開催で、文化的な面でも注目されていると言えるかもしれない。
【ブラジル】4年後のことは4年後に考える
(現地在住ライター 増成かおり)
今回のオリンピックとパラリンピックの開催国のブラジルでは、4年後の東京オリンピックに目が向いているとは今のところ言いがたい。
私が毎朝見るテレビニュースでは、次回大会について取り上げられていない。オリンピック開催中に中継で、東京オリンピックでは台風など自然災害が心配されることが伝えられたことがあったがそれきりだ。新聞でも何紙も確認したが、次回大会で行われる5つの追加種目と、オリンピック旗の羽田空港到着についての記事くらいで、東京オリンピックについて詳しく書いている記事はない。
しかし、東京を全く無視しているわけではないのかもしれない。ブラジルの大手テレビ局グローボから8月29日にスタートした新ドラマ、「ソウ・ナセンテ」は日本も舞台となっている。このタイミングで日本を絡めたドラマを制作するのは、次のオリンピック開催地である東京を意識したのではないだろうか。
次回大会を彼らが思い出すのはおそらく4年後だ。今は10月の市長および市議会議員選挙や、就任したばかりの新大統領テメル氏を追い出す運動に関心が集まっている。混乱するブラジルの政治に関心は戻り、4年後の大会など今は眼中にないのだろう。