「微笑みの国」とも呼ばれるタイは人気の旅行先だ。旅行中にタイに魅了され、その後何度も訪れる人や、そのままタイで暮らしたい、と願うようになる人も多いだろう。あるいは、タイに駐在することが決まり、タイでの生活はどのようなものなのかと期待と不安でいっぱいの人もいるかもしれない。

この記事では、タイで仕事をしたい人、タイで仕事をすることが決まった人の役に立つであろう情報を掲載する。実際にタイで働いている人の体験談もあるので、ぜひ参考にしてほしい。

目次

タイの仕事事情

(HowTravel編集部)

●現在の求人マーケット事情

タイの失業率は驚くべきことに1%に満たない。タイの景気は年々上昇しており、日系企業の進出も増えてきている。ある程度の語学力とスキルがあれば、日本人がタイで就職するのはそこまで難しくないだろう。特に、世界的に不足しているIT技術者(エンジニア、デザイナーなど)はタイでも歓迎される。語学力よりもITスキルを求めている会社も少なくない。

日系企業の商社においては、優秀な営業マンの採用にも力を入れている。共働きが一般的なタイでは男女差別もなく、女性も働きやすい。

また、タイは親日国であり、日本食レストランや日本食を取り扱っているスーパーなどが多くある。タイには約7万人もの日本人が暮らしていると言われており、日本人向けのイベントも毎週のように開催されているという。海外で働きたい日本人にとって、タイは最適な国かもしれない。

●給与や労働時間等の条件

①給与
給与水準は日本よりやや下がる。タイにおける日本人の最低賃金は月収50,000バーツ(約174,000円)だが、BOI(Board of Investment)と呼ばれるタイ国投資委員会が定めた投資奨励法に基づく投資優遇業種に認定されている会社は最低賃金以下で日本人を雇うことができる。例えば、日本語学校の教師やコールセンターなど、日本語のみで働ける業種がそれに含まれる。

また、年齢やポジションによっても当然給与は異なる。30代でマネージャー職に就いている人であれば、月収月収60,000〜80,000万バーツ(約210,000円〜約280,000円) ほどが見込める。能力に応じて手当がつく場合もあり、タイ語が話せたり、タイでの就労経験がすでにあると月あたり10,000バーツ(約35,000円)ほどアップする可能性がある。なお、英語は当然のスキルなので給与アップは望めない。

給与からは所得税と社会保険料が毎月引かれることとなる。所得税は累進課税。年収300,000バーツ(約100万円)以下は月収の5%、年収300,000バーツ以上500,000バーツ(約175万円)以下は月収の10%となる。

ちなみに、タイ人の平均的な年収は日本円にして約300,000〜400,000円と言われている。医者やパイロット、エンジニアなどはその倍だが、タクシーの運転手などは300,000円以下だという。海外で就職する場合、現地の人よりも外国人の給与の方が低くなることが多い中、珍しい例と言える。日本人がタイで採用された場合、どれだけ会社から期待をかけられているのかがわかるだろう。高い給与を払ってもいいと思える人材でなければ採用されない、とも言える。

②勤務形態
勤務時間は1日8時間以内、週6日48時間以内と定められている。午前8時から午後5時まで、あるいは午前9時から午後6時までといった終業時間がほとんど。残業手当は週48時間以上働いた場合に支給され、1日に8時間以上働いただけでは支給されない。休日出勤した場合は基本給の2倍の額が支給される。

祝日はその年によるがだいたい15日前後あり、有給は1年以上勤めると6日間取得することができる。少なく感じるが、有給休暇の他に病気休暇や所用休暇などがあるので安心してほしい。平日しか行えない手続き、例えばビザの更新などはこの所用休暇を使って行うこととなる。ただし、長期休暇は日本よりも少ない。

残業手当が定められているものの、残業することはほとんどない。タイ人は仕事よりもプライベートを重要視しており、働き方も自由だ。同僚とおしゃべりをしたり、家族と電話をしたり、お菓子を食べたりしながら仕事をしている光景は全く珍しくない。時間にルーズで、遅刻や無断欠勤も多いため、慣れないうちは戸惑うかもしれないが、日本での常識は忘れ、タイ人に倣ってリラックスして働くようにしよう。

③福利厚生
タイの民間企業で働く場合、外国人であっても社会保険に加入することが義務付けられている。しかし、日本語で診療が受けられる病院は社会保険に加入していないので、日本人の場合、民間の医療保険に会社負担で別途加入するというケースが多いようだ。

また、会社によってはプロビデントファンドと呼ばれる退職金給付制度を運用している。日本における企業型確定拠出年金と同じような制度だと思っていい。交通費や住宅手当、健康診断の費用などが支給されるか否かは会社によって異なり、それらをすべて含んだかたちで給与額が提示されるケースもある。

タイで仕事をするうえで必要な能力

●語学力

タイ全体で見ると英語力は日本と同等かそれ以下というレベルだが、企業で働くタイ人は主に英語を使って仕事をするので、英語力はあるに越したことはない。英語力に関して明確な基準を設けている求人情報はほとんどないが、ストレスなく英語でコミュニケーションがとれる状態であることが望ましいので、試験で高得点を取ることよりも、実際に英語を話したり聞き取ったりできるか、ということに重きを置こう。

また、タイ人は個人プレイよりもチームプレイが得意なので、英語での意思疎通が難しいと業務に支障が出てしまう。なお、タイ人の英語は日本人と同様、癖が強いので注意。Lの発音がNになることもしばしば。タイ語が話せるのであればもちろんそれは評価につながるし、タイ人とより友好的な関係が築けるが、ビジネスにおいてはタイ語よりも英語の能力が重要視されているのが現状である。

●学歴

ビザ、及び労働許可証を取得する際、英語で書かれた最終学歴の卒業証明書が必要になることからもわかる通り、学歴もしっかり確認される。

●職歴

必須ではないが、職歴があればもちろん内容に応じて評価される。若い人であればスキルを問わないという会社もタイには多いので、職歴がなくてもタイでの就職を諦めないでほしい。その場合、語学力がアドバンテージになるので、ぜひ語学力を磨いておこう。

タイでの仕事の見つけ方


タイ語のキーボード

●仕事の探し方

①求人サイトを使う
wakuwaku
日本人向けの求人サイト。日系企業の求人が多いが、現地企業の求人も掲載されている。現地企業の求人は英語で掲載されている。

WISE DIGITAL
日本人向けの情報サイト。タイで働く日本人に向けた様々な情報を提供しており、中には求人も掲載されている。数は少ない。

バンコク週報
日本人向けの情報サイト。求人情報も掲載されている。

NNA jobwire
アジア圏の求人情報が掲載されている。

パーソナルコンタクト
タイ専門の就職求人コンサルタント。

②フリーペーパーを使う
タイにある日系のスーパーやコンビニには、日本人向けのフリーペーパーが置いてあることが多い。それらを入手し、求人情報をチェックするのも一つの手だろう。ただし、すでにタイで働いている日本人に向けた求人情報であることが多いので、ビザと労働許可証を取得していないと応募できない場合がある。

③人脈を使う
タイ人は親切で情に厚いということもあり、友人や知人からの紹介があれば一気に採用に近づける。元々タイに人脈がある、というケースは少ないと思うので、SNSなどを駆使し、積極的にコネクションを広げていこう。

④駐在員になる
タイでの理想的な生活を実現させたいなら、駐在員となって働くのが最も良いだろう。様々な手当がつくので、日本で働くよりも2倍近く給与が高くなる。家賃や交通費なども会社が負担してくれるケースがほとんどなので、日本では想像できないようなリッチな暮らしを送ることができるだろう。

タイでマネージャー以上の役職に就いている日本人の多くは駐在員である。日本人と気質が全く違うタイ人の教育には苦労するかもしれないが、その分やりがいもある。

⑥転職エージェントに相談する
現地の求人サイトや、現地在住日本人向けの情報サイトで求人情報を探すことで、理想とする就職先が見つかる可能性は大いにある。しかし、それらの求人情報は自国民、またはすでに永住権や就労ビザを取得している人が対象である場合が多く、まだビザを取得していない人や、タイでの就職活動の知識が乏しい人には難易度が高いケースがほとんどだ。

そこでおすすめしたいのが、転職エージェントに相談するという方法だ。経歴やスキル、希望の条件や将来の展望に合った求人情報を提供してくれるだけでなく、経験豊富なエージェントであれば、履歴書の添削から面接対策を行ってくれるだけでなく、ビザの取得までサポートしてくれることもある。

以下の記事で、海外案件に強いお勧めの転職エージェントを紹介しているので、ぜひ参考にして欲しい。

●日本人が働きやすい職種

・製造業
タイにある日系企業のほとんどは製造業である。

・商社
営業マンは常に求められているので、英語力と営業スキルに自信がある場合はぜひチャレンジしてほしい。

・IT企業
ある程度のITスキルがあれば、好条件で採用されるだろう。

●希望の仕事が見つかったら(面接や給与交渉)

まずは履歴書の準備をしよう。履歴書はタイ語ではなく英語で問題ない。A4サイズで1〜2枚程度、フォーマットは自由、手書きではなくPCで作成する、など、欧米で提出する履歴書と条件はほぼ変わらないが、欧米では必要ない証明写真の貼付が日本と同様タイでは必須なので気をつけよう。また、タイの履歴書は職歴とともに給与を記載するのが一般的。必ずしも記載する必要はないが、給与交渉の際に有利に働きそうであれば記載しておこう。

タイでは履歴書より面接のほうが重要視される傾向にあるが、履歴書が通らなければ面接を受けることはできないので、自分がいかに優秀な人材か、いかに会社に貢献できるかをしっかりアピールしよう。

面接では、「なぜタイで働きたいのか」、「タイでどのようなキャリアを積んでいきたいのか」は必ず聞かれるので、事前に回答を準備しておこう。タイで働く日本人が増えていっているとはいえ、タイの会社が日本人を雇うのはやはりイレギュラーなことである。面接の回数も、タイ人を採用するときよりは多くなる傾向にある。日本国内からskypeなどで面接をする場合でも、最終面接は熱意を確認するためにタイの本社で行う、ということもある。

また、タイでは笑顔とワイと呼ばれる伝統的な挨拶(合掌をして、お辞儀をする)が大切にされているので、自然にできるように心がけておきたい。ワイは相手によってやり方が異なるので、事前に調べておこう。笑顔がない人は職場の雰囲気を悪くさせるとみなされるし、ワイがいい加減な人は人柄の評価が下がってしまう。日系企業であれば採用担当者が日本人であることが多く、ワイをする必要がないこともあるが、正しいワイができれば印象はいいだろう。

タイ大使館

就労ビザについて

●就労ビザの種類

タイで働くためには、ノンイミグラントビザと、ワークパーミットと呼ばれる労働許可証を取得する必要がある。ノンイミグラントビザは13種類あるが、ここでは最も一般的なノンイミグラントビザBについて解説する。

・ノンイミグラントビザB
通称Bビザ。BはビジネスのBで、移民ではない者、つまり永住権を持たない外国人がタイで就労するためのビザ、という意味。タイで働くために入国する際に必要になるので、当然ながら入国後に取得することはできない。出国前に日本かタイ周辺の国(インドネシアなど)にあるタイの大使館、または領事館にて申請を行わなければならない。
(参照:在東京タイ王国大使館ウェブサイト

・ワークパーミット
労働許可証のこと。Bビザを取得しただけではタイで働くことはできないので注意。もし、Bビザしか取得していない状態でタイで働き、収入を得た場合、厳しい処罰を受けることとなる。Bビザとは違い、ワークパーミットは日本国内で取得することができず、タイにある労働局に直接出向いて申請を行う必要がある。ワークパーミットは基本的に雇用主が申請してくれるので、自分にしか用意できない必要な書類を準備すれば問題ない。
(参照:タイ大使館ウェブサイト

●就労ビザの取得方法

メールやskypeなどを駆使して日本国内で就職活動を行うことも可能だが、現地で就職活動を行った場合、ビザ及び労働許可証を取得するまでの流れは以下のようになる。

①タイ大使館、または領事館にて観光ビザを申請、取得する。 ※タイの観光ビザの期限は90日で、30日以内の滞在であれば観光ビザは必要ない。
②観光ビザでタイに入国し、就職活動を行う。
③希望する会社から内定をもらったら契約を結び、観光ビザの期限が切れる前に一度日本へ帰国する。
④タイ大使館、または領事館にてノンイミグラントビザBを申請、取得する。
⑤ノンイミグラントビザBでタイに入国する。
⑥ワークパーミットの申請に必要な書類を本人と雇用側が用意し、雇用側がタイ労働局にてワークパーミットを申請、取得する。
⑦タイの就職先で仕事を始める。

ノンイミグラントビザBの申請方法
<必要な書類>
・パスポート(6ヶ月以上有効期間が残っている、かつ査証欄の余白が1ページ以上あるもの)
・ビザ申請書
・ビザに貼るためのカラー証明写真2枚(3.5cm×4.5cm)
・タイへの航空券、または航空券の予約確認書
・タイでの勤務先が発行した英語、またはタイ語の招聘状(原本のみ。コピー不可)
・タイでの勤務先の英語、またはタイ語の登記簿のコピー。(発行から6か月以内)
・英語の経歴書(原本のみ。コピー不可)
・身元保証書
・身元保証者の直筆の署名があるパスポートのコピー
・最終学歴の英語の卒業証明書(原本のみ。コピー不可)
・日本での最終勤務先からの在職、または退職証明書(原本のみ。コピー不可)
・すでにタイでの就労経験がある場合、その際に発行された就労許可書のコピー
など

<注意点>
必要な書類さえきちんと揃えれば申請自体は難しくないが、申請を受け付けてもらえる時間が午前9時から午前11時半の2時間半に限られているので注意。予約がないと受け付けてもらえない場合がほとんどなので、必ず事前に予約するようにしよう。また、ビザを受け取ることができる時間帯も限られており、翌営業日以降の午後2時から午後3時までとなる。スケジュール管理は慎重に。

ワークパーミットの申請方法
<必要な書類>
・ノンイミグラントビザBを取得したことを証明できるパスポート
・最終学歴の英語の卒業証明書(原本のみ。コピー不可)
・本人の顔写真3枚(3cm×4cm)(シャツ、ネクタイを着用したフォーマルなもの)
・タイ人医師による健康診断書(発行から6か月以内)
など

<注意点>
ワークパーミットの申請に必要な書類のほとんどは雇用側にしか用意できないものなので、本人が用意しなければならない書類は比較的少ない。重要になるのは英文での最終学歴証明書。学校によっては申請から発行までかなり時間がかかってしまうので、早めの準備を心がけよう。

最後に、外国人職業規制法によって定められている、そもそもワークパーミットを取得することができない職業について記載する。全部で39種と多岐にわたるので注意してほしい。

・肉体労働
・農業・畜産業・林業・漁業への従事(特殊技能業種、農業管理、海洋漁業船舶における単純肉体労働を除く)
・レンガ職人、大工その他の関連建設業者
・木彫品製造
・自動車などの運転や運搬具の操縦(国際線のパイロットを除く)
・店員
・競売業
・会計業としての監査役務の提供(臨時的な内部監査を除く)
・貴石類の切削や研磨
・理容師、美容師
・織物製造
・アシ、籐、麻、竹を原料とするマットやその他の製品の製造
・手すき紙製造
・漆器製造
・タイ特産楽器製造
・黒象眼細工
・金・銀その他の貴金属製品の製造
・石工
・タイ特産玩具の製造
・マットレス、上掛け毛布類の製造
・托鉢用鉢の製造
・絹手工芸品の製造
・仏像製造
・ナイフ製造
・紙製・布製の傘製造
・靴製造
・帽子製造
・仲介業、代理店業(国際貿易業務を除く)
・建設、木工に関し、企画、計算、組織、分析、計画、検査、監督助言をする業務(特殊技能を必要とする業務を除く)
・建設業における設計、図面引き、コスト計算、助言をする業務
・服仕立業
・陶磁器類の製造
・手巻きタバコ
・観光案内人および観光案内業
・行商・露店業
・タイ字のタイプ
・絹を手で紡ぐ業務
・事務員、秘書
・法律・訴訟に関する業務

タイでの暮らし

カオサン通り
年々物価は上がっているが、日本に比べるとまだまだ安い。特に家賃や食費は安くおさえることができる。ただし、日本食はもちろん日本よりも高い。現地の食事だけで生活を続けるというのは難しいだろうし、同僚や友人と外食する機会もあると思うので、想像しているよりも食費はかかると思っておこう。

旅行者感覚が抜けず、タイで働けば毎日豪遊できる、と思っている日本人も多いようだが、駐在員や高給取りならともかく、一般社員では難しいので、その考えは改めたほうがいい。

<1ヶ月にかかる最低限の生活費の例>

出費項目 金額例
家賃 10,000バーツ(約35,000円)※1
光熱費 3,000バーツ(約10,000円)
食費 ※2 12,000バーツ(約42,000円)
交通費やその他雑費 1,000バーツ(約3,500円)

合計26,000バーツ(約90,500円)
※1 首都バンコクの場合は17,000バーツ(約60,000円)
※2 外食込み

また、日本よりは治安が悪いということも頭に入れておこう。仕事先も見つかり、生活が始まるとついつい油断しがちだが、事件に巻き込まれる危険性と常に隣り合わせであることは意識しておきたい。

とは言え、タイは一年中暖かくて過ごしやすく、素晴らしい歴史的建造物や楽しいアクティビティが数多くある魅力的な国だ。タイ人も優しく親切で、日本人でも安心して過ごすことができる。「微笑みの国」で新たなキャリアをスタートできるよう、楽しみながら準備を進めていこう。

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現地在住日本人の体験談

(現地在住ライター D・太陽

●タイで働くために私がしたこと

タイは東アジア、アメリカ、ヨーロッパ等から製造業の進出が盛んで、アセアン地域の製造業ビジネスの中心となっている。特にその中でも日系企業の数は非常に多い。

私はタイに駐在して5年半となる。日本国内の電子材料を販売する中小企業へ新卒で入社した。入社後、1年も経ずにタイへ駐在し現在に至る。日本での就職活動の際は、若手でも海外で仕事をさせてもらえる会社を探した。

ただの憧れだが、元々海外で働くことに興味があった。日本は賃金が高い為、アセアン地域は注目され、多くの企業が安くモノを作りたい一心で生産移管を進めていた。

製造業であれば他の業種と比べ海外で働く機会を与えてをもらえる可能性も高いと思い、就職先は製造業に絞った。入社してからは日本で地道な営業活動で結果を残し、ある日それが上に認められ、1年経たないうちに、タイ行きの切符を掴んだ。

●タイ語は必要か?

タイへ駐在してから非常に苦労した。特に言葉の面である。仕事内容は日本と同じ営業で、客先へ訪問し、注文を取ってくるという単純なものだが、社内や訪問先での言語はタイ語、英語が中心で、書類も英語のものがほとんどだ。日本なら数秒で完結するやり取りも言葉が壁となり数分かかることも多々あった。

最初は何よりも言語の習得を優先すべきと考え、講師とマンツーマンでタイ語を勉強することにした。

英語という選択肢も有ったが、タイ語を選んだ理由は、タイはあまり英語が話せる国ではないということ、何より、現地の言葉を取得し、タイ人の心を掴みたかったからだ。

自分たちの言語で話してくれると、相手は間違いなく安心する。仕事も円滑に進む。特にタイ人は日本人と違い、仕事の付き合いでも友達のように親しくしようと努める。

そのような文化の中で、英語等の他言語で話すということは、相手との間に壁を作ることになり、良好な関係が築けないと思った。

タイ語の勉強を始めてから1年ほどは中々上達せず、挫折しそうになった。なにせ発音は難しく、話すたびに笑われ、今まで生きてきてタイ語を聞いたことも無かった為、耳が慣れなかった。

それでも、念願叶ってきた海外、このままでは終われないと思い、ひたすら勉強を続けた。タイに赴任して3年程経った頃には、普段の生活には困らず、客先と冗談を交わしながら話すこともできるようになった。その頃には周りからタイ語上達したね!と言われることが増え、本当に嬉しかった。

これからタイで働く人、働きたいと考えている人へ、必ずタイ語を取得するよう努めてほしい。仕事が円滑に進むことは勿論のこと、普段の生活の幅も広がる。

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●その他のアドバイス

これからタイで働きたいと考えている人は、タイのトレンドを知る必要がある。今何が流行していてどの業界が盛り上がっているのか。その業界に的を絞って就職活動をすることも一つの方法だ。

タイ料理の勉強や日本人コミュニティへの参加も大事である。

タイ料理の味は日本人の口に合うので問題ないと思うが、辛いものが苦手な人は苦労する為、そういう時は「辛くないやつ!」とリクエストすれば対応してくれる。タイ人からすると、自分たちの国の料理に興味を持って食べてくれると非常に喜ぶので、タイ料理の勉強も良いだろう。

また、日本人のコミュニティに参加することは非常に重要である。仕事を探すだけではなく、自分が入りたい日本人コミュニティーも探してほしい。みんなでワイワイ話すことで気分転換もできるし、タイならではの悩み相談もさせて貰えたりと、安心できる場所になる。そのような場所へ参加することで働くモチベーションも上がる。

タイで働くことに興味があるのであれば、まずどのような案件があるかを確認しよう

ここまでタイでの仕事の見つけ方について説明してきたが、希望通りにタイで働くことができるかどうかは、結局のところ求人案件次第である。タイで働くことに少しでも興味があるのなら、ひとまず海外の求人案件に強いサイトに登録して、自分の経歴や志向に合わせた案件を紹介してもらおう。エリアや職種、給与水準がある程度分かるようになれば、いっそう具体的にタイでの働き方や実際の生活がイメージできるはずだ。

当然ながら、日本での求人に比べて海外求人案件は少ない。くわえて、求人サイト内で非公開となっているものも多い。なのでまずは複数サイトに登録し、それぞれのサイトの非公開求人を見てみることから始めよう。

海外の求人案件に強く、日本に拠点がある主な求人サイト・エージェントは以下の通り。

①JAC Recruitment

JACのウェブサイト

<サイトの特徴>
1975年イギリスで創業、コンサルタントの人数は約550名、業界最大規模の転職エージェント。世界10ヵ国で日系企業、外資系企業、各国のローカル企業などに対し人材紹介事業を幅広く展開している。スタッフレベルのポジション以上、年収500万円以上のスペシャリスト、マネジメント層、グローバル人材に向けた求人に特化していることが特徴。日系企業や日本法人のある外資系企業の、海外勤務案件や海外駐在案件が得意。

国名から求人情報を検索することもできる。各国のコンサルタントの知識とスキルが高く、利用者からの評判は極めて高い。

<サイトの利用方法>
まずは会員登録をして求人情報を探す。国ごとに求人情報を検索できるので、海外で勤務したい場合は国名から選ぼう。外資系企業やグローバルな人材を求めている企業の求人情報も豊富なので、語学力を活かしたい人や駐在員を目指している人は、コンサルタントにそのように伝えること。

自分の希望とマッチした求人情報が見つかったら、履歴書添削や面接対策、スケジュール調整などのサポートを受けながら採用選考を受けることになる。

JAC Recruitmentの公式サイトはこちら

②ロバート・ウォルターズ

ロバートウォルタースのウェブサイト

<サイトの特徴>
1985年にイギリスで設立された人材紹介会社。2000年には東京オフィス、2007年には大阪オフィスが設立され、現在では世界30ヶ国の主要都市にオフィスを構えている。キャリアアドバイザーは全員バイリンガル、中には外国人もいるので、転職活動をしながら語学力を磨くこともできる。

外資系企業、日系のグローバル企業の求人情報に強く、またスタッフレベル以上、年収500万円以上の高収入所得者に向けた求人情報が多いので、優れた職歴やスキルを持つ人材には特におすすめだ。履歴書の添削や面接の受け方の指導など、アフターフォローも充実している。登録した情報を元に、スカウトメールが届くこともある。

<サイトの利用方法>
外資系企業や日系のグローバル企業の求人情報が豊富なので、語学力やスキルを活かしてそういった企業に務めたい場合は、希望する職種や給与を元に求人情報を検索しよう。海外での就職を目指す場合は最初に会員登録をして、海外で働きたいことや希望の勤務地などをキャリアアドバイザーに伝えよう。勤務地が海外の求人情報は少ないので、各国の求人情報について熟知しているキャリアアドバイザーにまずは相談しよう。

ロバート・ウォルターズの公式サイトはこちら

その他の国の働き方