日本たばこ産業(JT)発表の「全国たばこ喫煙者率調査」によると、2016年の成人男性喫煙率が29.7%と、統計が始まった1965年以来初めて3割を下回った。1966年では83.7%もの成人男性がタバコを吸っていたことを考えると、かつては一般的だった喫煙者が確実にマイノリティーに向かっていることがわかる。また、消費税増税によってタバコの価格は値上がりの一途を辿っており、分煙や禁煙の流れと相まって喫煙者にはますます生き辛い世の中となっている。近年、国内最大手であるJTは縮小する日本市場を離れ、海外展開を加速する動きを見せている。では海外での喫煙事情はどうなっているのだろうか。フランスとトルコのHowTravel現地在住ライターがリポートする。
目次
【フランス】法の規制はあるものの、男女問わず喫煙タイム長し
(現地在住ライター 竹内真里)来仏して驚いたのが性別関係なく喫煙者数の多さとそのマナーだ。パリではタバコの煙の匂いを嗅がない日はない。歩きタバコは当たり前で、吸い終わったら火のついたままポイ捨て。まだ0歳と見られる赤ちゃんが乗ったベビーカーを押しながら器用にプカプカ。先日は乳幼児が遊ぶ公園の砂場内でスマホをいじりながら一服する女性の姿もあった。
このようなシーンを日常で多く目にするが、政府発表の資料によると喫煙者は1,600万人(フランスの人口は約6,633万人)とされ、15歳から85歳の3人に1人、18歳から34歳では2人に1人は喫煙者、平均的な喫煙開始年齢が14歳半という統計が出ている。依存症や受動喫煙、未成年の喫煙者も多く、マリソル・トゥレーヌ厚生大臣は2017年をメドにタバコを1箱10ユーロ(約1200円)に値上げすると声を上げている。
喫煙場所は法で決められているので旅行の際は注意しよう。ホテル、カフェ、レストランでは外のテラス席など開かれた場所でのみ可能だ。屋内の席では喫煙のたびに外に出ることになる。
完全に禁止されているのは学校などの教育機関内、前述の公園の遊具エリアなどだが、喫煙がなされているのが現状だ。変えるべきはタバコの値上げではなく個人の意識だと筆者は思うのだが・・・。
【トルコ】タバコの価格の62.5%は税金!それでも禁煙率は46%
(現地在住ライター 土本窓子)
トルコでは、2009年7月19日から、公共性のある屋内施設では100%禁煙となった。ホテルは、禁煙室と喫煙室が設けられ、ロビー等での喫煙は禁止、カフェやレストランでは、テラス席のように屋外の席が設けられ、喫煙者は外で飲食をすることになっている。禁煙部分で喫煙した場合、喫煙者だけでなくその施設の責任者も罰金を払わなくてはならない。2014年の11月には、現大統領(当時首相)が遊説中に見つけたカフェ(2階の窓際席で喫煙していた)に、6000リラ(当時のレートで約26万円)の罰金が科された。
タバコの健康への害を周知するため、パッケージには、「タバコはお前を殺す」といったメッセージが印刷され、健康省による禁煙キャンペーンCMも流されているが、2015年度の喫煙率は43.6%となっている。教育程度が上がるにつれて、喫煙比率が上がる特徴がある。特に女性は、大学でタバコを覚える人が多い。現在、大手鉄鋼メーカーの製造部長をしているブルジュ(女性)は、「大学で親から離れてからタバコを始めた。値上がりは気になるけれど、仕方がない。屋内で吸えなくても、外で吸えばよいから禁止は問題ない」と語っている。
タバコへの課税率も高く、それが価格に反映されている。2016年のタバコの価格は、パーラメントが12.5リラ(約450円)、マルボロが12リラ、最も安いアナドルが8リラとなっている。ただし、トルコでは、葉タバコが生産されているので、安く吸いたい人は、刻みタバコの状態で売られているものを自分で紙で巻いて吸う。徐々に禁煙率も上がっているが、まだまだ、喫煙者が多い現状がある。トルコの人は、タバコも分け合おうとする。自分が吸う時にはまず相手も吸うか尋ねるので、禁煙した後にトルコに来るのは最低だと言われている。禁煙後には気を付けられたし。
タバコの生産量はかなり多く、2015年の輸出額は4億6400万ドル、国内での販売額は、396億4900万リラとなっている。ちなみに、JTは1990年から、トルコでタバコ生産を行っている。