シンガポールといえば今やアジアで最も発展している国に挙げられ、世界中の裕福層の住宅や、大企業のオフィスが集まる巨大都市だ。IMFによると、シンガポールの2015年の一人当たりGDPは52,887ドルとなっており、日本の32,485ドルと比べると1.5倍以上になる。日本よりもシンガポールの方が所得格差が大きいことから、この数値によって一般的なシンガポール人の方が日本人よりも裕福だとはいえないが、物価が低いイメージのある東南アジア諸国と一線を画すことは間違いない。実際のところ、シンガポールの物価は高いのか低いのか、また現地に住むとなると生活費はどの程度かかるのか、シンガポール在住日本人ライターがリポートする。

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シンガポールで現地就職の生活費

(現地在住ライター 後純也

  

項目 支出額 コメント
家賃 46,000円 現地民の住むマンションの家賃は日本の都心と同じぐらいの金額だが、外国人はユニットシェア(自室以外共用)が一般的で、やや割高。一人暮らしをするとなると、日本で言う高級マンションに住めるほどだ。筆者の場合は、友人のフィリピン人とルームシェアしているのでシンガポールでは格安の部類に入る。
食費 30,000円 外食中心の場合の最安値。1日3食で約1,000円前後。
光熱費 4,000円 光熱費はフラットメイト(4人)と割り勘なので格安。
交通費 2,500円 バス通勤がメイン。交通費は日本よりも格段に安いのでタクシーや電車も気軽に利用できる。
その他 20,000円 携帯電話はプリペイドで月約1000円、その他交際費等。
合計 102,500円


シンガポールで支出の大半を占めるのは家賃。外国人が部屋を借りる場合、家賃は100,000円前後でユニットの1ルーム、バス&トイレ&キッチン&リビングルーム共用が普通になる。 ワンランク上のコンドミニアムの一室を借りるとなるとさらにプラス50,000-100,000円前後が必要になるが、コンド内にあるプールやジム、BBQピット等を無料で利用できることを考えると妥当な値段かもしれない。

食費は自炊をすれば比較的安く済ませることができるが、キッチンが共用のため使い難く、かつオーナーによっては簡易調理のみ許可されていることも少なくないので一概に平均化することは難しいかもしれない。しかし、シンガポールは屋台(ホーカー)が発展している国なので、外食でも比較的安く済ませることは可能だ。(ただし、文化柄、油っこい食べ物が中心になるので健康管理は必須!)その他ファストフードやレストランは日本と同じか 高めの値段設定。特に日系のお店は割高で、日系のラーメン屋などはラーメン1杯で1,500円ぐらいかかるため、気付けばラーメン屋でひとり5,000円以上を使っていることもある。

ネガティブなことばかり続いているので、シンガポールに住むメリットをいくつかご紹介したい。

まず、税金について。日本にいると何かと税金を引かれることが多いが、シンガポールで大きな税金の支払いは年1回。それも所得税のみで、高額ではないのがポイント。昨年(2015年の)独立50周年記念イヤーはその所得税が半額になるという政府からの大盤振る舞いがあった。また、所得税だけでなく法人税も比較的安く抑えられることから外資系の会社やシンガポールで起業するスタートアップもたくさんある。

次に旅行について。シンガポールは「アジアのハブ」と呼ばれるだけあって、海外旅行のし易さは日本以上。バンコク、セブ島、バリなど、アジアのリゾート地に2、3時間でしかも格安で行けるのはとても魅力的だ。ヨーロッパへの旅行も日本に比べて比較的安くで行けるのもありがたい。

最後に、海外生活で一番気にしないといけない治安について。シンガポールは東京23区程の国土面積のとても小さな国だ。その小さな国に、中華系、インド系、マレー系をはじめ、ヨーロピアンやアジア諸国からの出稼ぎで溢れかえっている。まさにアジアの人種の坩堝。これだけの人種が集まって文化も母国語もみんな違にも関わらず、パトカーや救急車のサイレンの音は日本の10分の1くらいしか聞こえてこない。犯罪が全くないとは言い切れないが、日本や他のアジア諸国より治安がいいのは確かのようだ。日本人があえてシンガポールを海外就職の場に選択するのはこうした安全性や余暇を目一杯楽しめる環境があるからなのかもしれない。