日本からシンガポールへは直行便であれば約6時間ほどで行ける。時差も1時間しかない。アジアの中で英語を公用語としている数少ない国のひとつということもあり、観光地としても勤務地としても年々人気が高まっている。経済的にも成長を続けているシンガポールは多民族国家なので、働くようになれば実に様々な刺激をもらうことができるだろう。

この記事では、シンガポールで仕事をしたいと考えている人に必要な情報をまとめた。就労ビザの解説や、実際にビザを取得して働いている人にの験談も用意している。

目次

シンガポールの仕事事情

(HowTravel編集部)

●現在の求人マーケット事情

シンガポール政府は、従業員の3分の2以上がシンガポール人、または永住権取得者であることを理想としている。自国民が優秀な人材として社会で活躍できるように、25歳以上の国民に対して教育費や研修費を支給するなど育成にも力を入れている。

そういった背景からどの企業もシンガポール人の採用を優先しており、外国人の就職はなかなか難しいと言わざるを得ない。日本語が必要とされる職種もあるが、日本語も英語も上手に話せるシンガポール人は少なくないので、なぜ、シンガポール人ではなく日本人を採用する必要があるのかを、企業側に説明し、納得してもらう必要があるだろう。

また、日本人向けの求人は役職のない一般の社員向けであることが多い。これは、マネージャー以上の役職にはシンガポール人か駐在している外国人が就いていることがほとんどだからだ。もちろん、企業に貢献し続ければ出世できる可能性があるが、そのためには相当の努力が必要になるだろう。

●給与や労働時間等の条件

①給与
数年前までは日本よりも少ないと言われていたが、シンガポールの経済成長はめざましく、今ではほぼ変わらない。日本経済が横ばい状態であることを考えると、今後は日本よりも給与の水準が良くなっていくことだろう。

職種や取得できる就労ビザによって変わるが、30歳前後の営業職の場合、月収は4,000SGD(約33万円)〜、40歳前後のマネージャー職だと8,000SGD(約65万円)~9,000SGD(約74万円)くらいになる。駐在員であれば様々な手当がつき、倍近くになるだろう。就労ビザごとの申請に必要な最低賃金の基準は以下の通り。ビザの詳細に関しては就労ビザの種類で説明する。

就労ビザ 最低賃金
Employment Pass(通称EP) 月収3,600SGD(約30万円)
S Pass 月収2,200SGD(約18万円)
Dependant’s Pass 基準なし

②勤務形態
シンガポールの勤務形態は主に正社員、パートタイム、契約社員の3種に分かれる。ここでは正社員について説明する。

まずは労働時間について。1日の法定労働時間は8時間と日本と同様だが、週の法定労働時間は44時間と、日本より4時間長い。週5日勤務の場合、そのうち1日の労働時間を8時間から9時間に延長できるという仕組みがあるためだ。44時間を超えた場合は、基本給の1.5倍の給与が支払われることになる。休日は「REST DAY」と言い、週に1度必ず設けなければならない。

それでは週6日勤務が一般的なのかと言えばそうではなく、ほとんどの企業が週5日勤務である。「REST DAY」ではない休日は「OFF DAY」として区別されており、同じ休日出勤でも、「REST DAY」に出勤した場合は基本給の2倍、「OFF DAY」に出勤した場合は基本給の1.5倍の給与を支払うことが義務付けられている。

残業時間は月に最高72時間までとされているが、残業をする人はほとんどいない。シンガポール人は時間にルーズで、始業時間ギリギリに出社、あるいは遅刻したり、頻繁に休憩をとったりする人が多いが、終業時間がきたらほとんどの人がすぐに帰る。シンガポールで働くことになったら、仕事とプライベートの両方を充実させることが可能になるかもしれない。

③福利厚生
有給は、基本的に1年目は7日、2年目は8日、3年目は9日支給される。このように勤務年数ごとに1日増え、最高で年に14日与えられる。有給とは別に、病気休暇もある。病状によるが、3ヶ月で5〜15日、4ヶ月で8〜30日、5ヶ月で11〜45日、6ヶ月で14〜60日取得することができる。

産休も充実しており、産休を利用して復職する女性も多い。日本の女性管理職比率が19%であるのに対し、シンガポールの女性管理職比率は29%となっているのは、女性も安心して働ける職場であることも要因の一つかもしれない。職場での男女差別も皆無に等しいという。

インシュランスカードという、企業が提携している病院に限り無料で診察を受けられるカードを配布している企業もある。診療費の一部負担や、保険の支払いも必要ない。

その他には車両手当という耳馴染みのない手当がある。これは私用の車を社用として提供した時に支給される手当のことで、シンガポールでは自動車が高価なため、一般的な福利厚生の一つとなっている。その一方で、日本では当たり前になっている通勤手当を支給している会社はほとんどない。シンガポールの交通費は安いので、それなりの月収が確保できればそこまで気にならないだろう。

会社によっては、チームメイトでランチやディナーに行くための金額が支給されたり、会社全体でパーティーやゲームに興じるイベントが開催されることも多いという。和気あいあいとした職場で働きたい人にはぴったりだ。

シンガポールで仕事をするうえで必要な能力

●語学力

シンガポールの公用語は英語である。多民族国家のため、なおさらビジネスシーンでは英語でスムーズにコミュニケーションを取れることが求められる。求人情報を見てみても、明確な資格は提示していないとは言え、ビジネスレベルの英語力を条件としているところが多い。

しかし、シンガポール人のほとんどは「シングリッシュ」と呼ばれる強い訛りのある英語を使うこともあり、文法が正確であることはあまり要求されないし、相手の英語が拙くても一生懸命聞き取ろうとしてくれる寛容さを持った人が多い。ビジネスレベルの英語となると自信がない、という人でも、経験や人柄でどうにかなることもじゅうぶんある。

英語以外に話せると良いのは中国語だ。シンガポールの人口の70%は華人である。職場でもプライベートでも活かせるので、シンガポールで働きながら生活したいのであれば、中国語を話せるようになると大いに役立つだろう。

●学歴

シンガポールは学歴社会なので、就職活動には最終学歴の卒業証明書が必要になる。もちろん、書類は英文で発行されていなければならない。面接でも学歴について問われる可能性が高いので、詳細を説明できるように準備しておこう。

●職歴

シンガポールでは即戦力が求められる。社会人経験が3年以上あることを応募の条件としている企業も多い。日本のような新卒という考え方がないので、新卒も中途も同じ土俵で戦うことになるが、最低限のビジネスマナーや社会人として働いた経験がある中途が有利なのは明らかだ。

もし、IT業界で働いた経験があるならば、それは大きなアドバンテージとなる。特にプログラマーはシンガポールでも不足しているため、高待遇で迎え入れられる可能性が高い。また、金融業や産業が盛んなので、そういった業界で営業をしていた経験も活かせるだろう。

シンガポールでの仕事の見つけ方


仕事探し

●仕事の探し方

①シンガポールの人材紹介会社を使う
シンガポールにはたくさんの人材紹介会社がある。シンガポールでの就職を目指すなら、まずはこういったサイトを活用しよう。また、以下のサイトは全て日本語で作成されており、日本語での問い合わせも可能だ。不明な点があったら積極的に質問し、有力な情報を得よう。シンガポールの求人は入れ替わりが激しいので、こまめに求人をチェックすることも大切だ。

Reeracoen Singapore Pte. Ltd
Good Job Creations
ArchAgent Pte Ltd
EPS Consultants Pte Ltd
SMS24/7 PTE LTD.

②駐在員になる
実は、シンガポールで働いている日本人の多くは駐在員である。駐在員は給与が良い上に、就労ビザの取得も会社がサポートしてくれる。そのため競争率は高いが、どうしてもシンガポールで働きたいなら、シンガポールに支社を持つ日本の会社に就職するのも一つの手だろう。

③人脈を使う
ハードルが高く聞こえるだろうが、就職への一番の近道と言える。知り合いやSNSを駆使して、積極的に自分を売り込んでいこう。どれだけシンガポールで働きたいか、熱意を伝えるいい方法でもある。

④転職エージェントに相談する
現地の求人サイトや、現地在住日本人向けの情報サイトで求人情報を探すことで、理想とする就職先が見つかる可能性は大いにある。しかし、それらの求人情報は自国民、またはすでに永住権や就労ビザを取得している人が対象である場合が多く、まだビザを取得していない人や、シンガポールでの就職活動の知識が乏しい人には難易度が高いケースがほとんどだ。

そこでおすすめしたいのが、転職エージェントに相談するという方法だ。経歴やスキル、希望の条件や将来の展望に合った求人情報を提供してくれるだけでなく、経験豊富なエージェントであれば、履歴書の添削から面接対策を行ってくれるだけでなく、ビザの取得までサポートしてくれることもある。

以下の記事で、海外案件に強いお勧めの転職エージェントを紹介しているので、ぜひ参考にして欲しい。

●日本人が働きやすい職種

・新規出店の日系飲食店
・既存の日系飲食店
・日系商社
・IT企業
・カフェテリア
・アパレルショップ
・ビューティーサロン
など

これらはそもそもの求人数が多い。日系企業はもちろんのこと、IT企業は人手不足なので、スキルがマッチすれば歓迎されるだろう。カフェテリアやアパレルショップ、ビューティーサロンで活躍している日本人も多いが、賃金は平均より低いことがほとんどである。

●希望の仕事が見つかったら(面接や給与交渉)

応募したい会社が見つかったら、まず履歴書を用意しよう。日本のように決まったフォーマットはいが、だいたいA4サイズ1枚程度におさめるといい。写真も必須ではない。記載するべき基本的な内容は以下のようなものになる。

・名前
・連絡先
・生年月日
・学歴
・職歴
・資格
・スキル

学歴、職歴、資格、スキルを書く際は、具体的な例をあげつつ、わかりやすくて印象的な内容になるように気をつけよう。日本人は謙虚になりがちなので、誇張するくらいがちょうどいいかもしれない。採用担当者がぜひあなたを雇いたい、と思ってもらう必要があるので、何度も書き直したり第三者にチェックしてもらったりしながら、最高の履歴書を書き上げよう。

履歴書が通ると面接である。シンガポールでの面接は一対一が基本的で、集団面接になることはない。シンガポール人はフレンドリーなので、明るく、にこやかな対応が好まれるだろう。

基本的な質問は日本での面接とあまり変わらないが、「なぜシンガポールで働きたいのか」は必ず聞かれるだろう。シンガポールの企業は、シンガポール人を優先的に雇いたいと考えているケースがほとんどだ。日本人であるあなたが採用されるには、いかに会社に利益をもたらせる人材であるかを証明する必要があるし、シンガポールで働きたいという気持ちがどれほどのものなのかをはっきりと伝えなければならない。この質問に関しては、必ず明確な答えを用意しておこう。

また、希望の給与を聞かれた時のために、事前に給与の相場を調べておこう。

イミグレーション

就労ビザについて

●就労ビザの種類

一般的なシンガポールの就労ビザは2種類ある。1つはEmployment Pass、もう1つはS Passだ。簡単に言うと前者は取得しづらく、後者は比較的取得しやすいが、発給できる人数が会社ごとに制限されている。この2つのビザを含め、ここでは5つのビザを紹介する。

ビザの種類 概要 公式説明(英語)
Employment Pass 通称EP。最も一般的な就労ビザ。 詳細
S Pass EPを取得できない場合に申請する就労ビザ。 詳細
Dependant’s Pass 配偶者ビザ。 詳細
Personalised Employment Pass 高額所得者が取得できるビザ。 詳細
Entre Pass 起業家ビザ。 詳細

①Employment Pass
通称EP。シンガポールで働く日本人のほとんどが取得することになる就労ビザで、高度な学歴や技術を持つ外国人のために用意されている。1~3年の有効期間があり、延長したい場合は更新が必要。申請条件が曖昧で判断が難しいが、有名大学を卒業しているか、専門的かつかなり高度な資格を保有していることが求められていると言われている。

また、年齢は若いほうが有利。年齢が高ければ高いほど、月収も高い必要がある。シンガポールの労働省が提供しているオンラインツール「Self Assessment Tool」で自分の給与でEPが承認されるかどうかの目安を調べることができるので、ぜひ確認してみてほしい。

<申請条件>
・月収が3,600SGD(約30万円)以上である。
・じゅうぶんな学歴がある。 ※具体的な基準は公表されていない
・マネージャー、または専門性が高いポジションで採用されている。 ※具体的な基準は公表されていない

②S Pass
EPを取得できない場合に申請することになるのがこのS Passで、月収2,200SGD(約18万円)が申請の条件と月収のハードルは一気に下がるが、企業毎にS Passを申請できる枠がシビアに定められている。具体的にはシンガポール人5~6人の雇用につき1枠。

また、S Pass取得者を社員とした場合、企業側は毎月「Levy」と言う税金を支払わなければならず、申請の条件自体はEPよりゆるいものの、なかなか発給されないのが実情である。最長2年までで、延長したい場合は更新が必要。

<申請条件>
・月収が2,200SGD(約18万円)以上である。 ※2020年1月から2,400SGD(約19万6千円)に変更となる
・四年制大学か短期大学、専門学校を卒業している。

③Dependant’s Pass
通称DP。EPやS Pass所持者の配偶者や扶養家族に対して発行されるビザのことで、「Letter of Consent」、通称LOCと呼ばれる就労許可証を労働省に申請すれば働くこともできる。LOCの申請条件は特になく、簡単に取得できると言われている。ただし、DPを取得するには、EPやS Pass所持者の月収が6,000SGD(約49万円)以上でなければならない。

④Personalised Employment Pass
いわゆる高額所得者が取得できるビザ。最低でも月収18,000SGD(約147万円)以上であることが求められる。また、期限は3年、生涯に1度しか申請できないので、期限後もシンガポールで働きたい場合は永住権を取得するか他のビザに切り替える必要がある。

⑤Entre Pass
起業家ビザ。シンガポールの発展に貢献できる優秀な人材を海外から受け入れることを目的としている。登記から6ヶ月以内に事業を開始できること、企業から1年以内にシンガポール人を2人以上を雇用することなどが条件。

●就労ビザの取得方法

シンガポールの一般的な就労ビザであるEPとS Passの取得方法について説明する。

①申請
基本的にオンラインで行われる。必要なのは申請の条件に満たしていることを証明する各書類、パスポートのコピー、英文で書かれた最終学歴証明書など。申請してからIPAが発行されるかどうかの結果が出るまでは約2週間ほどかかると言われている。EPの場合は105SGD(約8,500円)、S Passの場合は60SGD(約4,900円)かかるが、就職先が負担してくれることがほとんどである。

②In-Principle Approval letter取得
通称IPAレター。申請が通るとIPAレターがメールで届くので、ダウンロードする。EPの場合は有効期限が6ヶ月、S Passの場合は有効期限が60日間。健康診断を受ける必要があるかどうかはIPAレターに記載されている。

③健康診断
必要であれば受診する。

④Notification Letter発行
仮の就労ビザのようなもので、これが発行された段階で就労が可能だが、期限は1ヶ月である。その間に、写真と指紋の登録手続きを行う。

⑤写真、指紋登録
登録センターで行う。完全予約制で、Notification Letter発行からEPの場合は2週間、S Passの場合は1週間以内に予約を取らなければならない。

⑥ビザ正式取得
写真、指紋の登録が完了してから4営業日以内に勤務先に郵送される。

シンガポールでの暮らし

シンガポールの街並
シンガポールは日本と比べても治安が良く、衛生的で住みやすいが、物価は高い。特に家賃が非常に高く、基本的にはシェアハウスをすることになると思っておいたほうがいい。そもそも、シンガポールは国土が狭く、一人暮らしを想定した住まいがあまりない。東京23区と同じくらいの面積に約560万人もの人が住む、世界人口密度ランキング3位の国なのだから仕方のないことだ。もし、コンドミニアム(マンションやアパートのようなもの)の一室で一人暮らしをした場合、古いタイプでも月に16〜17万円はかかる。ちなみに、トイレなどは共有となる。

食事は、ホーカーセンターと呼ばれる屋台であれば安く済ませることができるが、レストランで食事をする場合や、日本食を食べる場合などは高くつく。一方、交通費は日本に比べて格段に安い。自動車が高く、なかなか個人で所有できないため、タクシー料金も安い。簡単ではあるが、シンガポールで一人暮らしをした場合の1ヶ月の生活費の一例をあげておく。

出費項目 金額例
家賃(コンドミニアムの一部屋を借りた場合) 1,800SGD(約14万5千円)
食費 200SGD(約1万2千円)
外食費 500SGD(約4万円)
通信費 200SGD(約1万2千円)
交通費 100SGD(約8千円)
光熱費 100SGD(約8千円)

合計2,900SGD(約23万6千円)

医療費や保険料を会社が負担してくれない場合は更にかかるし、この例には日用品や遊びに行く費用などが含まれていないので、EP所持者であればじゅうぶん生活していけるが、そうでない場合にはある程度貯金をしてから渡星するか、食費を切り詰めるなどして節約することをおすすめしたい。

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シンガポールで働く日本人の体験談

(現地在住ライター 後純也

●海外における日本人の需要

日本語以外の言語ができない外国人にとって、ネイティブレベルの日本語習得が困難なため、「ネイティブ日本語スピーカー」というのはかなり需要がある。

特にアジア圏のいわゆる「先進国」ではオーガナイズされた真面目に働く日本人の需要が急騰している。もちろん現地語や英語が必須になってくることは言うまでもないが、日本語でのオペレーション業務が中心の企業であれば「日本語スピーカー」であることが必須条件なので、多言語ができなくてもチャンスは十分にある。

●海外と日本の働き方

現地採用の日本人に聞いてみると、皆口々に「もう日本企業では働けない」という。多くの海外企業は基本的に「残業」という概念がない上、個人に頼りきったワークスタイルではないので、誰かが2週間の有給を取ったとしてもチームでカバーするのが一般的。長期休暇の取りやすさやプライベートタイムが非常に尊重されるので一度海外で働くと日本で働いていたのが窮屈に感じられるのだ。なので、あえて日本には戻らず海外で再就職する人も多い。

日本で何年か働いた経験がある人にしてみれば不思議なぐらい外国人は働かない。しかし、彼ら彼女らにしてみれば、日本人は無茶な仕事でもサービスで請け過ぎて自分の首を締め過ぎているという。できないことには「できない」と主張し、そこからできるレベルにまで交渉していくことが「ビジネス」であるというのだ。

こうした合理的な考えは個人だけでなく企業全体にある。使えないと判断されれば即刻解雇されるし、逆に能力があれば年齢に関係なく昇進も早い。サービス精神旺盛な穏やかな日本人にとってみればかなりのカルチャーショックかもしれないがこれが現実である。

また、海外で働くためににはビザの取得も大きな課題になる。その国で働く以上は外国人になるので、たとえ内定をもらえてもビザが降りなければ海外では働けない。国によっては最終学歴や年齢、就業経験を見られるのでビザが出やすい国を予め調べておくことは非常に重要になる。

日本でも同じだが、職種や国を選ばなければ海外での就職口はある。殊、日本人ブランドは未だに健在で仕事に対する姿勢やアウトプットの高さは評価される傾向にある。しかし、同時に言語に問題があることも周知されているので英語、現地語に自信がなければ極端に状況は悪くなる。日本語スピーカー募集があるといっても職種は偏ってしまうので、希望の職種があるのであれば最低限の語学力は身に付けておきたい。また、昨今はプログラミングやコーディングスキルがあれば、英語がさほど出来なくても海外での就職口はぐっと広くなったりと、世界のトレンドを常に追っておく姿勢も大事である。

シンガポールで働くことに興味があるのであれば、まずどのような案件があるかを確認しよう

ここまでシンガポールでの仕事の見つけ方について説明してきたが、希望通りにシンガポールで働くことができるかどうかは、結局のところ求人案件次第である。シンガポールで働くことに少しでも興味があるのなら、ひとまず海外の求人案件に強いサイトに登録して、自分の経歴や志向に合わせた案件を紹介してもらおう。エリアや職種、給与水準がある程度分かるようになれば、いっそう具体的にシンガポールでの働き方や実際の生活がイメージできるはずだ。

当然ながら、日本での求人に比べて海外求人案件は少ない。くわえて、求人サイト内で非公開となっているものも多い。なのでまずは複数サイトに登録し、それぞれのサイトの非公開求人を見てみることから始めよう。

海外の求人案件に強く、日本に拠点がある主な求人サイト・エージェントは以下の通り。

①JAC Recruitment

JACのウェブサイト

<サイトの特徴>
1975年イギリスで創業、コンサルタントの人数は約550名、業界最大規模の転職エージェント。世界10ヵ国で日系企業、外資系企業、各国のローカル企業などに対し人材紹介事業を幅広く展開している。スタッフレベルのポジション以上、年収500万円以上のスペシャリスト、マネジメント層、グローバル人材に向けた求人に特化していることが特徴。日系企業や日本法人のある外資系企業の、海外勤務案件や海外駐在案件が得意。

国名から求人情報を検索することもできる。各国のコンサルタントの知識とスキルが高く、利用者からの評判は極めて高い。

<サイトの利用方法>
まずは会員登録をして求人情報を探す。国ごとに求人情報を検索できるので、海外で勤務したい場合は国名から選ぼう。外資系企業やグローバルな人材を求めている企業の求人情報も豊富なので、語学力を活かしたい人や駐在員を目指している人は、コンサルタントにそのように伝えること。

自分の希望とマッチした求人情報が見つかったら、履歴書添削や面接対策、スケジュール調整などのサポートを受けながら採用選考を受けることになる。

JAC Recruitmentの公式サイトはこちら

②ロバート・ウォルターズ

ロバートウォルタースのウェブサイト

<サイトの特徴>
1985年にイギリスで設立された人材紹介会社。2000年には東京オフィス、2007年には大阪オフィスが設立され、現在では世界30ヶ国の主要都市にオフィスを構えている。キャリアアドバイザーは全員バイリンガル、中には外国人もいるので、転職活動をしながら語学力を磨くこともできる。

外資系企業、日系のグローバル企業の求人情報に強く、またスタッフレベル以上、年収500万円以上の高収入所得者に向けた求人情報が多いので、優れた職歴やスキルを持つ人材には特におすすめだ。履歴書の添削や面接の受け方の指導など、アフターフォローも充実している。登録した情報を元に、スカウトメールが届くこともある。

<サイトの利用方法>
外資系企業や日系のグローバル企業の求人情報が豊富なので、語学力やスキルを活かしてそういった企業に務めたい場合は、希望する職種や給与を元に求人情報を検索しよう。海外での就職を目指す場合は最初に会員登録をして、海外で働きたいことや希望の勤務地などをキャリアアドバイザーに伝えよう。勤務地が海外の求人情報は少ないので、各国の求人情報について熟知しているキャリアアドバイザーにまずは相談しよう。

ロバート・ウォルターズの公式サイトはこちら

その他の国の働き方