2013年夏季オリンピック誘致活動での滝川クリステルの印象的な「おもてなし」スピーチや2015年世界経済フォーラム(WEF)の旅行・観光競争力報告書で「観光客へのサービス」の項目で日本が首位となった。日本のサービス業では、顧客が求めている以上の接客が求められ、常におもてなしの精神を持つべきだと言われている。そんな日本で生まれ育った身からすると、旅行で海外に行ってサービスに物足りなさを感じてしまうことが多い。海外ではどのようなサービスが行われ、現地民はどう感じているのだろうか。海外現地在住ライターがリポートする。

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サービスも変わりつつある中国

(現地在住ライター 高橋亮

中国に行ったことがある方であれば、そのサービスに悪い意味で驚かれたことがあるかもしれない。筆者も8年前に上海に訪れたときに釣り銭をレジカウンターに投げられたことを未だに覚えている。

そもそも中国は人口が多く、人材に対する教育や指導というのがないがしろにされてきた過去がある。例えばスーパーでは店員同士が大声で雑談をしていたり、スマホをいじっているというのも当たり前の光景であった。しかし中国の経済発展とともにサービスについての考え方や概念も変化しつつあるのが現状だ。スーパーや百貨店等によっては、しっかり接客マニュアルがあり毎朝スタッフ全員でマニュアルを復唱しているお店も少なくない。

このような背景にあるのが外資系、とくに日系スーパー等の中国進出にあると感じている。これら外資系スーパーでは接客はもちろん、様々なサービスにおいてもしっかりとしたマニュアルに沿って従業員教育がなされている。現地民の多くはこうしたサービスにとても好意的であり、結果として地元のスーパー等の対応も改善されているというわけだ。

このように、表面上はだいぶ改善されつつあるものの、笑顔での対応が少なかったり気の利いた対応ができなかったりとまだまだ改善の余地があるのも事実である。

ある意味運だめし!バラつきがある仏流サービス

(現地在住ライター 竹内真里

日本で生まれ育った日本人にとって、客という立場では良いサービスを受けられて当然、という気持ちが少なからずあるのではないだろうか。丁寧、親切、迅速、正確、きめ細やかに笑顔で対応という日本のスタンダードを見事に覆してくれるのがここフランスだ。ただしここでは筆者のパリの庶民的な生活圏内での経験をもとに書くので、一流ホテルやレストラン、高級ブランド店、地方ではまた違うだろう。

職場や組織の一員として従業員教育がなされ、接客態度やサービスに統一感がある日本と比べ、フランスではバラバラ。その時の気分や能力次第で対応が全く違ってくるので、どの担当者に当たるかで雲泥の差が出てくる。こちらの要望が相手にとって面倒くさいレベルだと、大きなため息をついてブツブツ言い始め、不快な態度をあらわにする。 

ビストロで着席し10分が過ぎた。注文を取りに来る店員が来ないので声をかけると「今行くわ」と不機嫌そうに一言、どこかへ消える。さらに待っても来る気配がないのでもう一度声をかけるとヒステリックに「今行くって言ったでしょ! 私は忙しいのよ!」。

某チェーンホテルでのチェックアウトの際の出来事。未使用の室内のドリンクバーを利用扱いにされた上、口頭で宿泊費を会計しようとするので明細書の発行を求めると随分ともたついている。15分以上待ち、まだですかと声をかけると「コンピューターが壊れて今は出せない。私のせいじゃない」。
 
スーパーや商店での会計時の釣り銭ミスも多い。従業員同士のおしゃべりは日常茶飯事。役所関係では提出書類の紛失、郵便局においては小包の紛失(窃盗?)等が多々あり、日本から送られた荷物は手にできないこともある。

どこも共通して言えるのは、間違いを指摘した時に丁重に謝られることは少ない。なぜか逆ギレされることもある。向こうにはミスをしたという自覚がなく察することをしないので、何がどう間違っているのかを相手が理解できるように説明しなければ、訂正の処理もスムーズにいかない。

仏頂面できちんと仕事をしてくれる人もいれば、ごく稀に笑顔で素晴らしい対応をしてくれる人もいる。さて今日はどんな人に当たるだろうか。