7月6日の配信開始から一か月と経たず、ポケモンGOの世界累計ダウンロードが一億を突破した。あまりの反響に「ポケモンGO脅威論」も出始めている。特にロシアでは、軍事施設等の機密性の高い場所で撮影されたポケモンGOのプレイ画像がアメリカ政府の諜報機関に渡るというような陰謀論が指摘されている。
実際、連邦保安庁の元幹部や上院議員から、ポケモンGOを禁止すべきであるとの声があがっており、ポケモンGOの代わりとして、ロシアの偉人と写真を撮れるゲームがモスクワ市監督の下でリリースされる予定だ。ロシア国内ではどのように報道され、どのように人々に受け止められているか、現地の反応を、How Travel現地在住ライターがリポートする。
確かにポケモンGOは批判を浴びているが、相当に人気度が高い
(現地在住ライター ティムペトゥホフ)昨年の秋、「ポケモンGO」のトレーラーが初めて公開された時、全世界でブームを起こすとほとんど誰も想像できなかったと思う。もともと2014年、任天堂の故・岩田聡社長と株式会社ポケモンの石原恒和氏に提案されたアイデアとして始まったポケモンGO(当時のタイトルは「ポケモンチャレンジ」)は結局、社会現象にまで発展した。
ポケモンシリーズが初めて海外市場に参入したのは1998年のことだ。当時、ポケモンをプレイするためには任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」を持つ必要があった。ゲームボーイの主なユーザー層は子供だったので、当時のポケモンは子供向けゲームのイメージが強かった。近年はスマートフォンの普及の影響で、携帯型ゲーム機の売上が伸び悩んでおり、ロシアのポケモンファンの数も減り続けてきたが、スマートフォンでプレイできるポケモンGOの配信によって、ロシアの消費者の目が再びポケモンに向かい、ファンも戻ってくると思われる。
ポケモンGOが最初に配信されたのはオーストラリア、ニュージーランドそしてアメリカの3カ国だった。そして現在、およそ70カ国で正式に配信されている。この記事を書いている時点でポケモンGOが正式に配信されていないのは、中国、ロシア、韓国、北朝鮮等だ。ロシアでは正式に配信されていないのに、ポケモンGOは既に大ヒットとなっている。このゲームをプレイするために、スマートフォンの地域設定を変更したり、海賊版をダウンロードした人が多い。
ポケモンGOはロシアのメディアでも大きく取り上げられた。当初、無害なゲームとして扱われていが現在では批判の対象となっている。ロシアの情報通信相はあるインタビューで「このゲームアプリで記録される映像の情報は外国の諜報機関に漏洩する可能性が高い」と述べている。ポケモンGOと海外の諜報機関との関係を憶測しているのはロシアの情報通信相だけではない。ロシア共産党のある議員によると、ポケモンGOは外国での情報収集のために、アメリカのCIA(中央情報局)によって開発されたアプリそうだ。ただ、政府当局や国会議員からの批判を浴びているにもかかわらずポケモンGOは一般国民に人気が高い。
ロシアの大手通信会社MTSが行なった調査によると、ロシアの首都モスクワではポケモンGOをプレイしている人の数は100万人を超えて、137万人になったとのことだ。これはモスクワの人口(約1200万人)の10%以上の割合だ。また、正式に配信開始されていないにもかかわらず、ほとんどの通信会社はポケモンGOのプレイヤー向けデータ通信無料プランをに発表している。
ロシアのネットで流れている噂によると、配信延期の原因は、政府の中に続いている、ポケモンGOから生じる法的問題に関する議論とのことだ。しかし、正式に配信が未だに開始されていないが、ポケモンGOは既に多くの人々の心を捕らえて、ロシアで成功したと言っても過言ではないと思う。
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