日本はジュネーブ条約に加盟しているため、手続きを経て国際免許証を取得すれば、世界約100カ国の国で現地の免許証無しに運転することができる(国際免許証の取得方法とジュネーブ条約加盟国は末尾に記載)。また、国際免許証を取得しなくても、日本国免許と現地語証明書があれば運転が許可される国もある。
制度上はとても簡単に海外旅行時や出張時にレンタカーを借りて運転することができる。そうはいっても、ジュネーブ条約に加盟している各国の運転ルールは一定統一感があるとはいえ、交通マナーは各国異なる。この記事では海外現地在住者が各国の運転マナーについてリポートする。
目次
【韓国】韓国での運転に慣れていない人にはおすすめしない
(現地在住ライター キムハナ)筆者が韓国に引っ越して感じたこと。それは「バスの運転が荒い」ということだ。座る前に発車は当たり前だし、たまにスピードの出したままカーブを曲がったりするので、座っていても踏ん張りが必要な時があるほどだ。バスがこの調子なら車も例外ではない。とにかく運転が荒い。スピードの出しすぎはもちろんだが、一番目立つのはウインカーを出さない人の多さだ。
筆者の暮らす釜山は特に運転マナーの悪い人が多いと言われており、「自分から先に(譲歩を)」という交通安全標語が掲げられているのだが、私の周りでは「自分から先に(行きます!)だろ」と皮肉られているほどだ。
韓国は地下鉄やバス、タクシーが発達しているので旅行者が運転するという場面はほとんどないと思われる。実際に筆者も日常でほとんど運転はしていない。でも、もしも運転する必要がある場合は日本よりもさらに「かもしれない運転」を意識し、突然の状況にも対応できるようにゆったりとした気持ちで運転するほうがよいだろうと思う。
【台湾】運転の荒い台湾、日本人にも運転できる?
(現地在住ライター 山田純)
台湾へ来て、必ずと言っていいほど驚くのは「スクーターの多さ」ではないだろうか。車の周りをスクーターが取り囲む信号待ちの風景は台湾ならではだ。信号が青に変わる瞬間、車の左右からスクーターが走り出し、車と車の隙間を縦横無尽に通り抜けていく。もちろん車も負けず劣らずの激しい運転を繰り広げる。台湾の路上は正に戦場である。そんな台湾で日本の安全運転に慣れ親しんだ日本人が運転するのはなかなか至難の業である。
では台湾での運転はおすすめしないか、と問われれば答えはイエスではない。台北のような大都市ではメトロや無料自転車など交通網がしっかりしているし、わざわざ危険な道路を運転する必要はない。しかし、台湾東部には非常に美しい大自然が多く残っており、広々とした道をぜひレンタカーで走ってもらいたい。きっと台湾のイメージが変わる素敵な体験になることだろう。
なお、日本と国交がなく、ジュネーブ条約に加盟していない台湾では国際運転免許は使用できない。台湾で運転するには日本の免許証とその中国語翻訳(JAFまたは公益財団法人交流協会発行に限る)が必要になるので、お忘れなく。
【ブラジル】覚悟と保険が必要
(現地在住ライター 増成かおり)ブラジル人の運転は荒い。例えば右折する際、日本なら右端の車線に車線変更するところを、ここではどの車線からでもそのまま右折してしまう。ウインカーを使わない車、一方通行を逆走する車、信号無視の車、ビールやスマホ片手に運転する車もいる。
それはなぜか。道路標識が少なかったり、信号が壊れていたり、赤信号で停車中や減速中に強盗が襲ってきたり、免許証を無試験で違法に取得している人がいるため、と聞いた。
ブラジルでは交通事故を減らすため取り締まりを強化し、幹線道路では昼間でもライトを点灯することが義務付けられるなど対策を進めているが、私はごく小さいものも含め、この20年で8回も追突され一度は全損した。やはりこの国で運転する以上、日本と同じ交通マナーを期待してはいけない。
ちなみにこの国は保険未加入の車が多い。私が被害に遭った事故の多くで車の修理代さえ払ってもらっていない。この国で運転するなら、マナーを守ること、時には周りに合わせること、それに覚悟と保険が必要だ。
国際免許証の取得方法
(HowTravel編集部)
ジュネーブ条約に加盟している国でレンタカーを借りたいという場合は事前に運転免許証を取得しておこう。
運転免許証、海外への渡航を証明する書類(航空券など)、証明写真を運転免許センターか警察署(一部は対応していない)に持参すれば申請できる。運転免許センターであれば即日、警察署でも申請から2週間程度で国際免許証を受け取ることができる。
エリア | ジュネーブ条約加盟国・地域 |
---|---|
アジア | フィリピン、インド、タイ、バングラデシュ、マレーシア、シンガポール、スリランカ、カンボジア、ラオス、大韓民国、香港、マカオ |
中近東 | トルコ、イスラエル、シリア、キプロス、ヨルダン、レバノン、アラブ首長国連邦 |
アフリカ州 | 南アフリカ、中央アフリカ、エジプト、ガーナ、アルジェリア、モロッコ、ボツワナ、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、ベナン、コートジボワール、レソト、マダガスカル、マラウイ、マリ、ニジェール、ルワンダ、セネガル、シエラ・レオネ、トーゴ、チュニジア、ウガンダ、ジンバブエ、ナミビア、ブルキナファソ、ナイジェリア |
ヨーロッパ州 | イギリス、ギリシャ、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、フランス、イタリア、ロシア、セルビア、モンテネグロ、スペイン、フィンランド、ポルトガル、オーストリア、ベルギー、ポーランド、アイルランド、ハンガリー、ルーマニア、アイスランド、ブルガリア、マルタ、アルバニア、ルクセンブルク、モナコ、サンマリノ、バチカン、キルギス、ジョージア、チェコ、スロバキア |
アメリカ州 | アメリカ、カナダ、ペルー、キューバ、エクアドル、アルゼンチン、チリ、パラグアイ、バルバドス、ドミニカ共和国、グアテマラ、ハイチトリニダード・トバゴ、ベネズエラ、ジャマイカ |
オセアニア州 | ニュージーランド、フィジー、オーストラリア、パプアニューギニア |
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