海外の調査会社によると、日本でポケモンGOがリリースされた7月半ばには4500万人いたユーザー数が、8月に入って1200万人程度減少したとのこと。しかし、ポケモンGOは熱狂的な報道をもって迎えられただけに、リリース直後は「とりあえずインストールしてみた」ユーザーが相当数の含まれていたであろうことは想像に難くなく、ユーザー数の減少だけをもって、ポケモンGOが早くも飽きられていると断定することはできないだろう。ただ、日本の街中を歩いていても、公開当初に比べるとめっきりポケモンGOをプレイする人を見なくなったのも否めない。海外ではポケモンGO人気が続いているのか。日本よりも早くポケモンGOがリリースされたアメリカとイギリスの現地在住ライターが、自身の周囲のポケモンGO人気をリポートする。
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【アメリカ】数字は下り坂 しかしユーザー層は広がっている一面も
(現地在住ライター 長谷川サツキ)7月6日にリリースされると同時に爆発的な人気を呼び、アメリカ中で社会現象となったポケモンGO。名だたる人気アプリをごぼう抜きしてダウンロード数第1位となり、ヒラリー・クリントンも遊説中にポケモンGOをネタにするなど7月は話題に事欠かなかった。さてそれからもうすぐ2ヶ月。当初に比べるとアメリカのポケモンGO熱もずいぶんと落ち着いてきた。ゲームをプレイしているユーザー数は8月に入り早くも下り坂だとニュースでは報じられている。確かにたむろしてポケモンGOをしている若者の姿は最近見かけなくなった気がする。
しかしポケモンGOが飽きられてしまったのかというと、決してそういう訳でもなさそうだ。現実世界を歩いてバーチャルの世界を重ねながらポケモンを集めるこのゲームは、基本操作がシンプルなためユーザーの年齢層が幅広い。20代前後の若者がメインではあるものの、周りを見れば小学生からそのおじいちゃん世代までプレイしている。近所の図書館では今月からポケモンGOのプレイ方法を解説してくれるクラスが始まった。なかなか人気なようだ。また娘に誘われて最近始めたという友人は、日課のウォーキング中にポケモンをせっせと捕獲している。ゲームに熱中するあまりウォーキングの距離も伸びて一石二鳥なんだそうだ。
リリース後の第一波のユーザーのうち一定数がすでにプレイを辞めてしまったのは事実だ。しかし第一波のユーザーからじわじわと広がった新たなユーザーは増えているように思う。数字の上ではユーザーが減っていても、実感としてはアメリカのポケモンGOはまだまだ熱そうだ。
【イギリス】イギリス人気質に合う「ポケモンGO」
(現地在住ライター 竹内奈緒美)
2016年7月中旬、子どもたちの夏休み開始時期に合わせたかのようなタイミングで、「ポケモンGO(Pokémon GO)」がイギリスでリリースされた。それ以来、子どもたちは街中に散らばるポケストップに立ち寄りながら、遭遇したポケモンをゲットするのに夢中になっている。夕方などには親子がそれぞれスマホを手に歩いている姿も目にするようになった。子供が親に自分のスマホを見せてドヤ顔をしている様子は、傍から見ていて大変微笑ましい。
「ポケモンGO」はNiantic社が開発・運営を行っているが、同社は2013年に「ポケモンGO」の基盤となる「Ingress」を正式リリースしている。そのため「ポケモンGO」のポケストップと「Ingress」のポータルがほぼ一致していると聞き、それを確認していたのだが、ふと「Ingress」のポータルの色が度々変化していることに気がついた。「Ingress」のエージェント(プレイヤー)は、ゲームの正式リリースから3年たった今でも活発に活動していたのだ。
イギリス人の時間間隔は日本人のそれとは大きく異なる。イギリス人はこれと決めたことを時間にとらわれずやり遂げる・やり続ける傾向があり、その結果、時間が蔑ろになるのだ。それと同じことが「Ingress」にも起こっているのではないだろうか。もしそうであるならば、その「Ingress」と似たゲーム性を持つ「ポケモンGO」にも同じ現象が起こるのではないだろうか。
親子のコミュニケーションツールのひとつとして、また運動不足解消のきっかけとしてもイギリス社会に受け入れられた「ポケモンGO」。イギリス人の気質も相まって、今後もその人気が衰えることはなさそうだ。