人事系コンサルティング会社マーサージャパンの調査によると、日本の祝日日数は世界64カ国中3位の15日となっている。意外かもしれないが、世界の中では日本は祝日が多い国で、6月を除く全ての月で祝日があり、ゴールデンウィークの週に至ってはわずかな期間で4日もの祝日がある。ちなみにこのゴールデンウィークという名称だが、元は放映中であった映画が売れるようにと、テレビのゴールデンタイムにあやかって作られた造語であり、海外には存在しない言葉だ。このゴールデンウィークのように、世界中にその国の独特な事情によって作られた休日・祝日が存在する。各国でどのような休日・祝日があるのか、海外現地在住ライターがリポートする。

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【アメリカ】緑ビールで乾杯!セントパトリックス・デー

(現地在住ライター 長谷川サツキアメリカのセントパトリックスデー(Stuart Monk / Shutterstock.com)

バレンタインが終わり、店頭に奇抜な緑色のケーキが並び始めると「ああ、今年もこの季節が来たな」と思う。それは毎年3月17日に全米で盛り上がる「セントパトリックス・デー」である。アイルランドでキリスト教を広めた聖職者パトリックの命日という厳かなカトリックの祭日なのだが、その祝い方は町中を緑に染めてのどんちゃん騒ぎだ。緑はアイルランドの象徴。学校や会社は休日にはならないものの、生徒も先生も職場の同僚もみな緑の服を着る。緑を身に着けていないとつねられてしまうので、うっかり忘れた人は慌てて緑ペンを胸ポケットにさしていたりする。

噴水や池が緑に染まり、お店のディスプレイが緑に染まり、大人たちは鮮やかな緑のビールで乾杯をする。各地で開催されるパレードではアイルランド民謡とバグパイプが流れ、軽やかなステップのセットダンスが雰囲気を盛り上げてくれる。ニューヨークやここサバンナのパレードが特に有名で、観光客がアメリカ中から押し寄せてきて皆思い思いの緑コスチュームでワイワイと楽しむ。キリスト教の祝日でありながら、宗教や人種を超えて楽しく盛り上がれるお祭り。それがアメリカのセントパトリックス・デーだ。

【イギリス】メイデーの朝 オックスフォードの習慣を体験

(現地在住ライター バックリー佳菜子イギリスのレイバーデー(Flat art / Shutterstock.com)

筆者の住むイギリスでは5月1日はメイデーという祝日である。(5月1日が週末の場合には翌週月曜)日本でメーデーというと労働者の権利を主張し労働組合と企業が戦う日というイメージがあるかもしれない。イギリスでも労働者の祝日という意味合いもあるが、歴史的に春を祝う日としての祝日でもある。

今年のメイデーには筆者はオックスフォードで伝統的なイベントであるメイモーニングを楽しんだ。筆者の夫がオックスフォード出身であるため、毎年メイデーの朝6時半から行われるマグダレンカレッジ聖歌隊を見にでかけている。このイベントは聖歌隊がオックスフォード大学のマグダレン塔の上に上り、そこで聖歌を歌うイベントでとても人気がある。聖歌隊というと厳かなイメージがあるかもしれないが、メイデーの場合、前日の夜からオックスフォード市内は観光客や地元民が集まり夜通しパーティーをし、そのまま次の日の朝からメイデーのイベントを楽しむという人も多い。厳かな雰囲気の中にも、イギリスの短い春と夏の訪れを楽しもうとパーティーをするのがいかにもイギリス人らしい祝日といえるかもしれない。

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【韓国】アジア文化と欧米文化の混ざりあった韓国の祝祭日

(現地在住ライター キム・ヒョンジお正月の韓国(PeoGeo / Shutterstock.com / Shutterstock.com)

韓国独特の祝日で特筆するのは、反日を反映した祝日であろう。3月1日の抗日運動を記念した日、8月15日の日本からの独立記念日だ。この日は、様々な催しがあるが、あまりユニークな祝祭日とは言えない。そこで、韓国人が楽しく過ごす祝祭日となると、1月1日の新年と12月25日のクリスマスの2つだろう。

韓国は、他のアジア諸国と同様に旧正月を祝う風習があり、その旧正月も祝日となっている。新暦の12月31日には、欧米式のカウントダウンを、ソウル市庁前広場等で毎年盛大に行っている。1月1日には、初日の出を見ようと、海や山へ出掛ける人もいる。韓国では、新年を新歴・旧歴の2回も祝っているのだ。

韓国では、仏教の祝日である、お釈迦様の誕生日もクリスマスも祝日になっている。世界中を見渡しても、お釈迦様の誕生日とイエス様の誕生日の両方が、祝日になっている国は珍しい。韓国にキリスト教徒が多い為に、クリスマスも祝日になったのだ。それ故に、クリスマスシーズンになると、町中がクリスマス一色となる。まさに韓国は、アジアの文化と欧米の文化が入り混ざった国なのだ。