日本では花粉症がつらい季節が続いている。この時期には日本を脱出して花粉から逃れたいという声がよく聞かれる。
林野庁によると、日本の全森林面積の内、スギとヒノキだけで28%も占めているとのことだ。そのほとんどは人工的に植林されたもので、戦時中及び戦後復興時に木材需要が爆発的に増え、成長が早く管理がしやすいスギとヒノキが多数植えられたという背景がある。そしてこのスギとヒノキが、今や3人に1人ともいわれる花粉症患者を悩ませているのだ。
このような背景からすると、花粉症は日本特有の問題のように聞こえる。実際のところ、海外に花粉症はないのか、かつて日本で花粉症に悩まされていた、現海外在住日本人ライターがリポートする。
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【アメリカ】車が花粉で黄色く染まる!アメリカ人も苦しむ花粉症
(現地在住ライター 長谷川サツキ)アメリカではまさに今が花粉症シーズン真っ盛りだ。中でも私の住むジョージア州は全米一花粉の多い地域で、その花粉の量といったら車が黄色く染まってしまうほどひどい。花粉症に苦しむ人も多く、この時期は薬局の抗ヒスタミン剤が飛ぶように売れる。
ただし日本とは花粉の種類が異なるようで、日本で花粉症の人が皆アメリカでも発症するわけではないらしい。私自身日本では花粉症だったが、アメリカに来てからはぴたりと症状がやんだ。調べてみると花粉の種類は州や地域によって異なるようだ。
アメリカ人は花粉症のシーズンが近づいてくると、皆予防薬を服用したり、ワセリンを鼻に塗ったり、ハチミツを食べたり(地元のハチミツを食べると症状が緩和すると言われている)とやっきになって対策する。ただひとつ不思議なのが、アメリカ人はなぜかマスクを使わない。医療機関で働く人以外マスクしている人を見ないのだ。花粉症には有効な対策のひとつだと思うのだが、なぜ彼らがこんな便利なグッスを使わないのかはいまだ謎のままだ。
【イギリス】マスクなしで花粉症と闘うイギリス
(現地在住ライター 竹内奈緒美)
穏やかな日差しの下で花が咲き始める春は、イギリスで暮らす人々にとって、とても嬉しい季節だ。しかし草木が花を咲かせると花粉が飛散するため、私のような花粉症持ちには「嬉しいけど辛い」という複雑な季節となる。
イギリス人には日本人のようにマスクを日常的に装着する習慣がないため、何の対策もせずにうっかり風の強い日に外出しようものなら、目も鼻も大変なことになる。私も数年前の春は、目のかゆみだけでなく耳の中までかゆくなり、大変つらい思いをした。
マスク装着で外出しても何の問題はないが、イギリスではかなり異様な姿だ。人目を気にする小心者の私は、薬局等で売られている内服薬や点眼薬・点鼻薬を味方につけて、今年も花粉と闘うことにしよう。
【韓国】花粉症の症状はほぼ出ないが、韓国の春はほこりっぽい
(現地在住ライター キム・ハナ)結論としては、韓国にも花粉症はある。しかし筆者を含め、日本で花粉症に悩まされた日本人は韓国で花粉症の症状に悩まされなくなったとよく言う。
春先、花粉症で悩まされている人はスギが原因である人が多いと思う。その花粉症の原因であるスギ自体、日本に比べて韓国は少ない。よって花粉量も自ずと減るために花粉症の症状は発症しないようである。
そのかわり、韓国の春といえば黄砂である。目には見えないが、黒い車に黄色い粉が積もっているのを見ると、これを日常吸っているのかとぞっとする。その上、pm2.5も中国から舞ってくると言われているので、春先はとにかくほこりっぽく、喉と目に違和感を感じる。
日本にいても韓国にいても暖かく外出したくなる春は、体にとっては辛い季節である。