10月13日日本時間20時に今年のノーベル文学賞受賞者が発表される予定だ。毎年有力候補の村上春樹は今年もブックメーカ予想で1位または2位の人気となっている。村上春樹は世界でも有名であり、人気も高いと日本では報道されているが、それは本当なのか。海外現地在住ライターがリポートする。
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【イギリス】賭けの対象の中で人気1位の常連
(現地在住ライター 長谷川サツキ)筆者の住むイギリスではどんなものでも賭けをすることができ、ノーベル賞の授賞者の賭けではここ5年近く毎年村上春樹の名前が人気1位に挙がっている。これはやはり彼の作品が一般に広く知られているからでこその現象と言っていいだろう。
イギリスにおいて、日本人作家と言えば?と聞けば必ず上がる名前が村上春樹とカズオ・イシグロである。またイギリスでは最近彼の小説作品の表紙デザインが一新され、そのデザイン性の高さからも若い世代にも人気になっている(デザインをみる。
数年前、村上氏がロンドンの有名書店でサイン会をした際には筆者のイギリス人の友人は朝5時頃から並びサインをもらいに行ったが、大変盛況だったようである。
【アメリカ】世界で最も影響力のある100人にも!著書の評価も高い村上春樹
(現地在住ライター 長谷川サツキ)
インターネットの普及に伴い、アメリカでも日本同様に活字離れが進んでいる。そのためか村上春樹について聞いてみても若い世代からは「知らない」、「聞いたことあるけど何してる人?」という返答が多かった。
しかし日本にある程度親しんでいるアメリカ人の間では村上春樹の名前はやはり有名なようだ。村上春樹の話を振ると延々とその魅力について語ってくれる人が何人もいた。アメリカ文学の影響を受けた彼の作風も、アメリカ人にとっては馴染みやすいのかもしれない。著書はアメリカのアマゾンのレビューでも軒並み高評価で、タイム紙では2015年度の「世界で最も影響力のある100人」のひとりとして名前が挙がっている。
シンプルな文章に、独特な世界観を浮かび上がらせる村上春樹。彼の作品はアメリカでも多くの共感を生み、ファンの心を震わせているようだ。
【韓国】村上春樹は、韓国でも絶大なる人気
(現地在住ライター キム・ヒョンジ)1987年に日本で出版された「ノルウェイの森」は、韓国でも翻訳されて出版された。しかし、当初の翻訳本は、あまり売れなかった。その後、1989年に韓国人に、なじみ易いように現代的な言語に変えて翻訳され、「喪失の時代」と題名を変えて出版された。この、「喪失の時代」が、発売から1年間で10万部を超えるセールスとなり、爆発的な人気となった。そして、高校生や大学生の必須本とまで言われるようになった。
その後、村上春樹の本はエッセイに至るまで翻訳され出版された。「1Q84」が出版されたときは、特設ブースが設けられるほどの人気となり、売り上げ部数は、19週間連続1位となり韓国史上最短でミリオンセラーとなったのである。このように、村上春樹は韓国の若者を中心に絶大な人気を誇っているのである。