イースター(復活祭)といえば欧米では一般的な風習である一方、日本ではほとんど知名度がなかった。しかし近年、ディズニーランドがイースターイベントを実施するなどして、注目が集まっている。4月16日のイースターを前に、各国のイースター文化を海外現地在住ライターがリポートする。
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【アメリカ】子供向けのイベントで盛り上がるイースター
(現地在住ライター 長谷川サツキ)春の訪れを象徴するイースターは、子供達が毎年とても楽しみにしているイベントだ。イースターとはイエス・キリストの復活を祝う日であり、イースターの2週間ほど前から教会を含む様々な場所でお祭りやゲームが行われる。店頭にはイースターのシンボルである多産のウサギや、生命の象徴である卵をかたどったお菓子やぬいぐるみが並ぶ。春らしいパステルカラーで埋め尽くされたディスプレイは見ているだけでも楽しい。
幼稚園や小学校では、子供達が卵の殻に絵の具や色紙で思い思いにデコレーションしてイースターエッグを作る。隠したイースターエッグを探し当てるエッグハントや、卵を転がして競争するエッグロールはこの時期欠かせないイベントだ。
昨年のイースターでは、2歳の息子と一緒にスーパーや教会、スタジアムなどでエッグハントを楽しんだ。スーパーでは商品の陳列棚にチョコレートの入ったプラスチックの卵が隠されていて、それをかごを持って探すという面白い趣向のエッグハントだった。一方スタジアムでは卵がヘリコプターから大量に撒かれ、それをひたすら拾ってかごに入れるというもの。場所によってかなり差があるエッグハントだが、子供達は幼児からティーンエイジャーまで大いに盛り上がる楽しいイベントだ。
【イギリス】イギリス国民にはクリスマス並みに重要なイベント
(現地在住ライター 竹内奈緒美)
バレンタインが過ぎると、イギリスのあらゆる店先は黄色一色に染まる。イギリス国民にとってクリスマス並みに重要な「イースター」を迎える関連グッズが一斉に売り出されるからだ。
イギリス国教会系列の小学校では、色とりどりの花やウサギ、ひよこや卵のオーナメントで装飾したイースターボンネットという麦わら帽子を子供たちが被ってパレードしたり、鶏の卵をカラフルな絵の具で色付けし、それを庭のあちこちに埋めて探し出すエッグハントをしたりする。
宗教色の強いイベントであるため、イースターを挟んだ前後1週間程度を「イースター休暇」として多くの学校が休みになったり、祝日扱いで公的機関や一部スーパーなどが休みになるので、毎年変動するイースターの日程には注意が必要だ。
【フランス】命や誕生を象徴する卵、ウサギの形のチョコがお目見え
(現地在住ライター 竹内真里)近所のスーパーでは2月下旬頃からチョコレート売り場が拡大し、定番の商品に加え、ウサギやニワトリなどのモチーフや、カラフルな卵型のチョコレートが大量に陳列され始めた。イースターが近づいている証拠だ。
イースターの祝日は毎年変わり、2017年は4月16日の日曜日で、翌月曜日も休日となる。学校の2週間の春休みもちょうどこの時期と重なる。本来は宗教的行事だが、筆者の周囲に敬虔なキリスト教徒がいないためかあまり宗教色を感じない。友人や家族と食事をし、子どもは日本でもおなじみになりつつあるエッグハントをして遊び、普段からよく食べるチョコレートをプレゼントし合い、さらに多く消費する日…なのだ。
イースターにパリを訪れる予定の人は、市内の公園やデパート、動物園などで開催されるエッグハントを始めとするイベントに行ってみるのもいいだろう。また、ペニンシュラやシャングリラなどのホテルではイースターブランチが堪能できる。チョコレートに目がない人は、ショコラティエめぐりもオススメだ。
【ブラジル】イースターでもブラジルはシュラスコ
(現地在住ライター 増成かおり)
カーニバルが終わると、どこのスーパーも派手にラッピングされたチョコレートのイースターエッグを売り始め、手作りイースターエッグを売る人も現れる。その中にはクリームが詰められていたり、小さな玩具やボンボンチョコレートが入っている。不況のため、売れるのは以前より小さい高さ15センチほどのものだというが、それでもイースターエッグを贈り合う習慣は根強い。
ブラジルでは、ポルトガル語でパスコアと呼ばれるイースターと、その前の聖金曜日も祝日で合わせて3連休になる。この連休を利用して旅行に出かける人も多いが、自宅の庭先で親戚や友人同士でブラジル式バーベキューのシュラスコを楽しむ人も多い。
男性達は冷えたビールやカイピリーニャ(サトウキビの蒸留酒がベースのブラジルのカクテル)を片手に肉を焼き、女性達はたっぷりのサラダとパンを用意した後は、座っておしゃべりに花を咲かせる。イースターに限らず、休日はこうしてのんびり楽しむのがブラジル流なのだ。
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