代表的な牛、豚の他にも、世界では実に多様な動物が食べられている。ヨーロッパではウサギや羊が一般的な食材として売られ、アフリカではコウモリやサルを食べる。またアジアではイルカやクジラ(一部ヨーロッパでも食べられている)を食べるし、日本人には少々驚きの犬食、猫食文化も存在する。特に、韓国の犬を食べる習慣については日本でも報道されているため、ご存じの方も多いのではないだろうか。日本のお隣韓国の犬食文化の現状について、現地在住ライターがリポートする。
今でも犬肉を食らう韓国
(現地在住ライター キム・ヒョンジ)韓国の犬食文化が世界に知れ広まったのは、1988年のソウルオリンピックの頃である。オリンピック参加国から犬食文化に対して批判が出たのが始まりだ。その批判をかわす為に、犬肉料理店を人目のつかない裏通りに移転させた。2002年のサッカーワールドカップ開催の際には、FIFAが正式に犬食文化の追放を申し入れた。しかし、韓国側は、これを拒否した。理由は、犬食文化は韓国をはじめアジア諸国において古くから有るものだと主張したのだ。
韓国では、犬肉を鍋料理やスープ料理にして食べる。滋養が有り精がつくとされている。夏の暑い時期に、日本でウナギを食べるように犬肉を食べる習慣が有るのだ。また、産後の滋養にも犬肉を食べる習慣が有り、病後の滋養食としても食べられている。今では、犬肉を出す料理屋も減ったと言われているが、ソウル在住の私の家の近所には3軒も有る、昔は犬肉専門だったが、今は違うメニューも出している。犬肉だけでは、商売にならなくなってきたのだろうが、犬肉は未だに人気があるようだ。そして、最近では夏の暑い時期に食べる滋養食は、参鶏湯(サムゲタン)が普通になった。
この時期になると、日本ではうなぎ屋の映像をテレビで良く見るように、韓国では、サムゲタン専門店の映像を良くみる。特に若い女性達は犬肉を食べなくなってきているし、犬肉を扱う店自体を嫌う女性も多い。
その昔から中国文化の影響を受けていた日本でも、江戸時代前期頃までは犬食文化が有ったと言われている。日本は、開国し明治時代になると西洋文化を積極的に取り入れ、急成長をしていく。そして、犬食文化は完全に無くなり、犬は愛玩動物となった。しかし、韓国は日本と同じように、西洋文化を取り入れ経済成長も成し遂げたが、犬食文化は無くならないのだ。愛玩動物としての犬を飼う人も増えているし、日本と同じように、犬用の服を扱う店も有る。それでも、韓国人は犬肉を食べ続けているのだ。