GDP世界2位の大国に浮上し、軍事的にも拡大を続ける中国を、日本は脅威的な目で見ている。一方で、爆買いによってお金を落としてくれる中国人を大歓迎する等、日本一国から見ても中国と中国人には様々な見方がある。海外では中国と中国人についてどのように見られているのか、アフリカのコートジボワール、イギリス、韓国、フィリピンの現地在住ライターがリポートする。
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蔑視しつつも良きパートナー!?
(現地在住ライター SANOGO MIYU)国民は中国のGDPや軍事力、地理的なことすらわかっていない、中国がどういう国なのかあまり理解していないにもかかわらず嫌悪感を抱いている。コートジボワール人は近隣諸国に比べ裕福であることから出稼ぎ移民やアジア人蔑視が酷いのだ。
特に女性に対しては「おい、そこの中国人!」、「チンチョン」、「ニーハオ!」などと嘲笑しながら平気で言ってくる。中国人だと思われ不親切にされることも何度もある。日本人であることを伝えてると手のひらを返す人もいるのだが、「中国も日本も一緒だろ!」と言ってくる始末だ。
また「アフリカにいる中国人は犯罪者」だと理解している国民も少なくない。中国は犯罪者を送り込み資源や雇用を奪う、粗悪な商品を作りアフリカに売りつけていると認識しているようだ。しかし国民は安さには勝てず中国製品を利用しているのが現状である。
その一方で政府関係者や企業側からすると良きパートナーではないだろうか。新聞紙面やWebニュースで派手に取り上げているのをよく目にする。中国は賄賂も気前よく払うので私腹を肥やすのに掛け替えのない存在なのである。ただしコートジボワールは他のアフリカ諸国よりも中国依存は少なくインフラ整備なども旧宗主国のフランスやヨーロッパ企業が多い印象である。
昔からの中国移民と新しい観光客の印象
(現地在住ライター バックリー佳菜子)
昔香港がイギリス領だったこともあり、筆者の住むイギリスには多くの中国系移民が住んでいる。2011年のデータによるとイギリスに住む中国系移民は43万人を超える。在英日本人は6万人程度なのでその多さが分かると思う。またイギリス生まれの中国人二世、British Born Chineseを略しBBCというスラングも浸透していることなどからもイギリス社会に馴染んているのが分かるだろう。
そんなイギリスではどんな小さな町にも中華料理のテイクアウト店があったりすることから、中国=中国料理という印象がまず強い。その次にはやはり製造業というイメージだ。イギリスでもMade in Chinaの製品が多くこのあたりの印象は日本人が持つ典型的な中国のイメージと近いかと思う。
それ以外ではここ最近中国の富裕層が観光でイギリスを訪れることが増えてきており、日本でも話題になった爆買いのような印象が付いてきていると感じる。筆者の家の近くにBicester Villageという大型アウトレットモールがあるのだが、最近では中国人観光客を乗せた大型バスが毎日大量に押し寄せ、バーバリーなどイギリスのブランドを買っていく光景が見られる。
韓国人が感じる中国と中国人
(現地在住ライター キム・ヒョンジ)現在韓国では、移住してくる中国人が増加しているのだ。この中国人は、朝鮮民族系中国人で、朝鮮族と呼ばれている。政府の方針により、朝鮮族に対しての規制が緩和されており移住がしやすいのだ。この朝鮮族だが、言葉は韓国語を喋れるが、基本的な思考や行動は中国人なのだ。それ故に韓国人社会でトラブルを起こす者も多い。その為、中国人が集まって生活するようになり、あちこちに中国人街が形成されているのである。
また、観光で訪れる中国人も、マナーが悪く宿泊施設や、飲食店等でトラブルが絶えない。お金を使ってくれる有り難い存在では有るが、中国人観光客を宿泊させる位なら、空き部屋のままで良いとまで言うオーナーも居る。これは、筆者が済州島のペンションオーナーから直接聞いた話だ。
そして今、国家レベルでは、迎撃ミサイル「THAAD」配備決定による中国の嫌がらせと傲慢な態度が、毎日のように報道されている。もともと、韓国人の中には中国を嫌っていたり、目下す人が多い。その為、この状況が続くと、嫌中感情を大きくするだけで良い事は無い。速やかに平和的に解決される事を切に願う。
一般的なフィリピン市民がもつ中国への印象は?
(現地在住ライター Ken Saito)
フィリピンでは、領海問題に関する中国との揉め事が毎日のように新聞や、ニュースに取り上げられているが、全般的には中国に関する話題は一般市民の間ではあまり関心は高くないようである。実際に中国人観光客や中国製の商品が多いフィリピンであるが、多くの人は中国との領土問題よりも、目の前にある身近な噂話の方に関心が高い。
とは言うものの、多くのフィリピン人は、あまり中国や中国人に対する印象は決して良くない。街中を見渡しても中国製品は多く出回っているものの、その品質に関する評価は非常に低いのが多く、安かろう悪かろうというのが一般的な意見だ。特に食品や化粧品など、人体に直接影響を及ぼすようなものは、都市部の富裕層だけでなく多くのフィリピン市民も敬遠をするようになってきた。
また最近多くなった中国からの観光客も、団体で訪れる中国人旅行客を中心に、周囲を気にせず騒いだりゴミを所構わず捨てたりといったような、マナーの悪さなどが指摘されあまりいい印象を持たれていない。