12月2日、衆院委員会においてカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案が採決され、賛成多数で通過した。その後、14日の衆院本会議でも賛成多数となり、日本にカジノが誕生する可能性が高まっている。
元々、日本ではパチンコや競馬が最もポピュラーなギャンブルで、客層はやや所得の低い層だ。多くの人はギャンブルに対して良い印象を持ってない。今回のカジノ議論については、主に外国人観光客をターゲットとし、日本人は条件付きで入場を認める方向で調整されており、ギャンブル依存症の人が増えたり、生活保護受給者がカジノに通うというようなことを避けることが目指されている。
そもそもカジノは140カ国以上で合法であり、世界的にみると一般的なギャンブルの一つだ。カジノ文化で先行する他国では、ギャンブルがどのように捉えられているのか、またどのような人がカジノに行くのか、問題は起こっていないのかなど、海外現地在住ライターがリポートする。
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【アメリカ】安全でおしゃれな大人の遊び場、それがカジノ
(現地在住ライター 長谷川サツキ)アメリカでカジノ、と来たらやはりラスベガスだ。世界的に有名な観光地であるこの街は、カジノのイメージアップにひたすら腐心し続けてきた歴史がある。マフィアを一掃し、ショーやテーマホテルなどアミューズメント性を取り入れ、徹底的な治安強化に努めてきた。その甲斐あってアメリカにおけるラスベガス、ひいてはカジノのイメージに後ろ暗い所はあまりなく「おしゃれできらびやかな大人の遊び場」という位置づけだ。カジノで楽しむ年齢層も幅広く、年配の夫婦や子連れの家族、婚約パーティの会場になることもある。カジノを船上で楽しめるカジノクルーズもあちこちで気軽に楽しむことができる。
カジノは賭け事であるため、依存する人が一定数いることは否めない。しかし特にラスベガスのような場所ではより多くの人に楽しんでもらえるようにと1セントからプレイできる台があるし、場所も清潔で居心地がよい。無料のドリンクサービスもある。21歳以下は法律でプレイ台に近づくことさえ許されていないので、未成年が賭け事にはまる危険性もない。
カジノを取り巻く環境にラスベガスがこだわり続けてくれたおかげで、アメリカではカジノに対する負のイメージはあまりない。カジノ側と客側双方にとってよい環境が保てているのである。
【韓国】韓国人はギャンブル依存症になりやすい国民性
(現地在住ライター キム・ヒョンジ)
韓国でギャンブルと言えば、カジノが先ず最初に出てくる。しかし、韓国に17箇所あるカジノのほとんどは外国人専用である。唯一韓国北東部の江原道太白市(カンウォンド・テベクシ)に有る江原ランドが韓国人が入れるカジノだ。旧炭鉱の街に地域活性化を目的に建てられたものである。
江原ランドは韓国人からは入場料(9000ウオン)を取るにも係わらず入場者の99%が韓国人である。しかも、韓国内に在るカジノの総売り上げの約50%をここ1箇所で売り上げてしまうのだ。また、入場の際には身分証明書を提示し、複数回の入場が出来ない様に入場制限を行ったり、ギャンブル中毒ケアセンターを設置する等のギャンブル依存症対策も取られている。
江原ランドの客の50%以上はソウルからの客だが、車でゆうに3時間は掛かる。そして、江原ランドの周辺には、質屋街が有り、高級車が安く買える事でも有名だ。身の回りのものを手放してまでカジノに興じるほどに韓国人がギャンブルに熱中しやすく、依存性が高いことがわかる。
【イギリス】身近ではあるがギャンブルに対する印象はよくない
(現地在住ライター バックリー佳菜子)イギリスではすでにカジノが合法で、筆者が住むような郊外の中規模都市でも様々なゲームをプレイできる店舗型大型カジノがある。またオンラインカジノのCMや広告はあちこちで見かけられる。
ブックメーカーとよばれる賭け事も盛んでサッカーの試合結果から有名人の子供の性別までなんでもお金を賭けることができる。普段ギャンブルをしない人でも、贔屓のサッカーチームの試合にちょっとだけお金を賭けてみたり、飲み会の2次会の感覚でカジノでお酒を飲みながら少しだけプレイするというような遊び方ができる。そういった意味では日本よりもギャンブルが身近に感じることも多いかもしれない。
しかし実際のところカジノに毎週通うようなヘビーユーザーや、賭け事に大量のお金をつぎ込む客層は日本と同じくやや低所得者層や働いていないので時間が余っている人のようで大半のイギリス人はギャンブルに対していい印象を持っていないのが現状のようである。