日本では国産車のシェアが9割を超え、残りをベンツ、フォルクスワーゲン、BMWの外車三社等が争っている状況だ。日本市場はかねてから海外メーカーの参入が難しいと言われ、日本人の日本車好きは際立っている。また、日本人だから目がいきやすいということを差し置いても、街中を走る車の多くが日本車という国は多いように感じられる。実際、2015年度の世界自動車販売台数トップは、フォルクスワーゲンを抑えてトヨタ自動車だ。実際のところ、海外ではどの国の車が人気で、それは何故なのか、海外在住現地ライターがリポートする。
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【ブラジル】見かけるのは外車ばかり
(現地在住ライター 増成かおり)2015年、ブラジルで最も売れたのはシボレーがブラジル向けに開発したオニキスだった。ブラジルでは、こうした5ドアハッチバックのコンパクトカーが人気だ。価格が比較的安く、車社会のブラジルで毎日の足として使うのにちょうどいい。ブラジルでは、ガソリンとサトウキビが原料のエタノールの混合で走るフレックス車が主流で、このオニキスも例外ではない。
この国で走っている車のほとんどが外国メーカーで、特にフィアットがポピュラーだ。かつてウノという車種をブラジルで最も安い車として販売していたからか、安いイメージが定着している。
私の住む町サンパウロでは日本車もよく目にする。トヨタもホンダも日産も三菱も見かけるがトヨタが多く、中でもカローラが最も売れている。その品質や接客が好印象を与えているようだ。ちなみに、私は中古で買ったトヨタエティオスに乗っている。1.3リットルのコンパクトカーだ。インドとブラジル向けに開発されたシンプルな車で、サンパウロの坂道や穴だらけの道も軽やかに走ってくれる。
※MARKLINES社によると、2015年のブラジル販売台数1位は17%のシェアを占めるFCA(フィアット・クライスラー)で、日本メーカーは7位にホンダ、8位にトヨタがランクイン
【韓国】韓国では、車の人気も反日
(現地在住ライター キム・ヒョンジ)
韓国で人気が有る車は、現代自動車と起亜自動車の2社だ。と言っても、この2社は同じグループ企業である。韓国内での国産車販売台数でこの2社の合計は、78%を超える。人気車種は2000cc以上のセダンとSUVだ。
輸入車はどうかと言うと、韓国国内販売台数の15%が輸入車だ。2012年には10%だったが、2015年では15%にまで増加している。一番の人気は、BMWで、ベンツ、フォルクスワーゲン、アウディと続く。日本車は、レクサスが一番人気だが、その他の日本車ブランドのトヨタ、日産、ホンダ、インフィニティの販売台数を合計しても、BMWの半分強にしかならない。日本車を見ることは、BMWやベンツより難しいことなのだ。
以前は、愛国精神で国産車の購入がほとんどであったが、富裕層の増加に伴い、高級輸入車が良く売れている。とは言っても、ここ韓国も日本同様、国産車が大半を占めている。そして、車の人気も反日と連動している。
※MARKLINES社によると、2015年の韓国自動車販売台数トップ5までを韓国メーカーが占め、日本メーカーは11位にLEXUSがランクイン
日本車の人気は国によって大きく異なる
(HowTravel編集部)ブラジルと韓国の現地ライターのリポートからすると、日本車の存在感が世界ではあまり強くないように感じられるかもしれない。実のところ、日本車は世界中の国で圧倒的に売れているということはない。アメリカのお膝元である南米ではアメリカメーカー車が強い傾向があり、上記の韓国のように、有力なメーカーを持つ国では自国メーカーの車が売れている。実際、プジョーやルノーを持つフランス、BMWやフォルクスワーゲンを持つドイツでは、いずれも日本メーカーはトップ10圏外だ。
では、日本車はどこで売れているのかと言うと、巨大市場として挙げられるのがASEANだ。3億人以上の人口を持つインドネシアに至っては9割以上のシェアを日本メーカーが持つというから驚きである。そして、日本メーカーが受け入れられているこれらの国は、経済成長著しく、人口が増え続けている国でもある。日本メーカーの益々の拡大を期待したい。