日本ではペットショップでペットを購入することが一般的であり、子供の頃の方が売れることから、大人になってしまった動物は叩き売られる。それでも売れ残った動物の行く先は様々だ。ブリーダーに売り渡される、ペットショップ店員が引き取るといったものから、動物実験業者に安値で販売される、あの手この手で保健所に連れて行く(2013年法改正により、簡単には保健所に連れていけなくなった)といったような残酷なケースもある。

また、ただでさえ毎年数多くの犬や猫が殺処分を受けているにも関わらず、何のハードルも設けず簡単にペットショップでペットを購入できてしまうことにも批判がある。

海外ではどのようにペットを購入するのだろうか。また、ペットショップへの批判はあるか、ペットを購入する際の規制はあるのか、現地在住ライターがリポートする。

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目次

【韓国】ペットに対する意識は日本よりも遅れている

(現地在住ライター キムハナ

韓国でペットを購入する方法は、日本よりも多様だ。日本でも取られている店舗型のペットショップでの購入はもちろん、インターネットコミュニティを通じて個人間でやりとりする方法や、お婆さんが道端でダンボールに入れて売っているのも稀に見たりする。

正直、ペットに対する意識は日本よりも遅れている。遅れているというより、人によって意識の差がありすぎると言った方が近いのかもしれない。ペットの生体販売反対を掲げている人もいれば、道端で生まれてあまり経っていない子犬を1000円以下で販売していたり、それを抵抗なく購入する人もいる。実感としては後者のほうが割合としては多いのではないかなと感じる。このような状態なので、ペットを購入する際の規則や決まりなどもほとんどないと言っていいだろう。

最近ではペットに関連する店などが増え始め、ペットに対する意識が変わりつつある。筆者も3匹の猫を飼っている身として、もう少し韓国のペットに対する意識が向上してほしい、と切に願っている。

【ブラジル】買ったりもらったり

(現地在住ライター 増成かおり

2013年の調査結果では、ブラジルでは44.3%もの家庭で犬が飼われていて、子供の数よりペットの数が上回っている。そのためか、サンパウロではペット産業が花盛りで、ペットショップや獣医院、市営のドッグランも増えた。

そんな中、人々のペットの入手方法は自由。ペットショップの一部やブリーダーから純血種の子犬や子猫を高額で購入する人がいる一方、知人や動物保護団体などから譲り受ける人もいる。

筆者は元保護犬を飼っている。この動物保護団体では、保護した犬や猫に必要な治療を施し、ワクチンと去勢避妊手術と駆虫を済ませたうえ、シャンプーしてリボンまでつけ、積極的に譲渡会を開いて無料で希望者に譲渡している。運営は厳しいようだが、これらの費用全てを寄付で賄い、人々が気軽に寄付していることに驚く。通常、保護数とほぼ同数の動物を譲渡しているという。

サンパウロ市の動物収容施設では、州が健康に問題のない動物の殺処分を禁じているため、狂犬病などの人畜共通感染症のない保護動物は殺処分せず譲渡している。動物の保護数は多いが譲渡数も多く、2014年は2年前と比べ譲渡数が21%も増加した。

これは人々の意識が変化が影響している。わずかな手数料で純血種の犬や猫を入手できるとあって、以前から低所得者層の利用が多かったことに加え、中高所得者層でペットをお金を出して買うことに抵抗を感じる人が増えてきて、保護された犬や猫を年齢を問わず雑種でもペットとして迎える傾向が出てきたのだ。

どこで入手しても、最後まで責任を持って飼って欲しい。

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【イギリス】共生しやすい環境づくりの一方で問題も山積

(現地在住ライター 竹内奈緒美

筆者は1年半ほど前にハムスターを家族に迎え入れた。ペットショップで見かけた彼は、大きくなりすぎて売れなくなり、引き取り手を探している状態だった。そのため販売価格は筆者の言い値でよいと言われたが、その代わりある書類にサインするよう促された。それは、氏名、連絡先と共に「私は責任と愛情をもって新しい家族を世話することを誓います」と書かれた誓約書だった。

小鳥やウサギ、トカゲやヘビといった小型の動物が欲しい場合、ペットショップで購入するのが一般的だ。以前、上記のペットショップで熱帯魚を購入したが、その時は誓約書へのサインは求められなかった。今回のように「引き取る」場合にのみ、誓約書へのサインが必須となるようだ。

犬や猫、鶏といった中型の動物は、ブリーダーから直接購入するのが一般的だ。現に筆者の知人は、別の知人から紹介を受けたブリーダーをいくつかまわって犬を購入した。知人のペットという「実績」を見ているため安心して選べる、というのが大きな理由だった。

日本と同じくイギリスでも、ペットを「商品」として扱うペット産業、粗悪なブリーダー、身勝手な飼い主、捨てられた動物たちのその後などが問題視されている。しかし、散歩道に設置された「動物のフン処分専用ゴミ箱」を度々目にするにつけ、日本よりイギリスのほうが「ペットと共生しやすい環境づくり」に自治体レベルで取り組んでいるように思える。しつけの行き届いたペットも多いが、ペットにまつわる様々な問題が解決できない場合、今後は購入者側に何らかの規制が設けられるようになるかもしれない。

【コートジボワール】愛玩よりも実用性!?

(現地在住ライター Sanogo Miyu

都市アビジャンにも外国人経営のペットショップは数件あるのだが、犬猫などの個体販売はしておらずちょっとしたペット用品やオウムや金魚などが売られている程度。現地では愛玩目的というより番犬やネズミ捕りの為に犬猫を飼っているという感じだ。

富裕層や外国人はシェパードやドーベルマン、ロットワイラーなどの大型犬を番犬兼愛玩目的で飼っている。ブリーダーから直接、もしくはペットブローカーを介して購入するのが一般的。ショッピングモールの掲示板やSNSで「売ります・買います」の取引がなされている。

また雑種犬やウサギなどは路上で首根っこを掴まれて売られている。果たして愛玩が食用かは購入者次第。そのような個体の路上販売や過酷な出産を繰り返すブリーディングに対しての現地での批判は無さそうだ。またブローカーによる詐欺も少なくない。我が家もブローカーから購入した犬が成長するにつれてミックスだと判明。

ペットフードを含むペット用品は輸入品で高額な為、まだまだ現地では愛玩動物を飼う習慣が根付く事はないだろう。ペットショップの個体販売や殺処分が非人道的か否かを問う以前に犬猫を食す人々もいるのでアフリカのペット事情は別のところに問題がありそうだ。