忘年会、新年会、歓送迎会等、日本では定期的に飲み会シーズンがあり、飲み会の翌日は二日酔いの人が街に溢れる。二日酔い対策として、日本ではアルコール分解に有効なウコンや肝臓水解物を用いた錠剤やドリンクを必ず飲む前に摂取するという人も多く、居酒屋メニューにも二日酔い対策グッズが並ぶほどだ。海外に目を向けてみると、お酒メインのバーやパブ、食事メインのレストランはあるが、食事メニューがレストラン並みに豊富で、お酒を飲む目的で訪れる居酒屋形態は珍しい。また、夜間に酩酊している人は町中でよく見られる一方、二日酔いになったという話はあまり聞かない。では外国ではどのようなタイミングで、どのような場所でお酒を飲み、どのような二日酔い対策をしているのだろうか。商談にはお酒が必須と言われる中国現地在住ライターと、ワインの本場フランス現地在住ライターがリポートする。
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とにかくたくさん食べて飲むのが中国流
(現地在住ライター 高橋亮)中国といっても東北地方と南方ではかなりの文化の違いが存在する。しかしどの地域であっても、たくさんの料理とともにお酒を酌み交わすというのが中国文化だといえるであろう。旧正月はもちろんのこと、結婚式など親族や友人が集まったという場合にはお昼であろうが夜であろうが関係なしにお酒が振る舞われる。
中国人との飲みの席に欠かすことができないのが白酒といわれる、アルコール度数が40度から60度以上にもなる蒸留酒だ。中国では日本でいう居酒屋というものはないが、基本的にどのレストランや食堂でも白酒などを置いてあるので、よく昼間から顔を真っ赤にしている中年男性を見かけることができる。
中国では日本のようにはしご酒をするケースはほぼなく、ひとつの場所で食事をしながらひたすら飲むというのが一般的である。中国人とお酒を飲む場合には、その酒の席において一番立場の上の人が音頭をとり、同じペースでお酒を飲んでいくことになる。当然ながら酩酊してしまう人も少なくないのだが、日本のようにあらかじめ二日酔い対策をしたり、酔い覚ましのために特別に何かをするわけでもない。後先を考えずにとにかくお酒をたくさん飲むというのが中国流のお酒の楽しみ方といえるのかもしれない。
昼間から嗜むことがあっても、豹変はせず
(現地在住ライター 竹内真里)
フランスでは食事時にワインは欠かせない。人によっては食前酒や食後酒も飲む。クリスマスやおめでたい席では普段より高級なシャンパンやワインを開けお祝いする。このように飲む機会は多いのだが体質の違いによるものなのだろうか、日本風の「ザ・酔っ払い」を見かけない。
爽やかで天気の良い初夏から夏の公園では家族や友人とピクニックを楽しむ人々の姿があるが、水、ソフトドリンクのほかビールやワインなどアルコールもしっかり用意されている。若者はポテトチップをつまんで瓶ビールを片手にひたすら語り合っているが、落ち着いた様子で度を過ぎた騒ぎや行動は見られない。
お昼時のレストランの前を通ると、食事中の会社員らのテーブルにはワインがある。もちろん午後にも仕事があるのだが、こちらでは見慣れた光景だ。
公的機関発行の資料によると、会社内でのアルコールの消費はワイン、ビール、シードル、ポワレのみ、送別会や歓迎会、クリスマスパーティーなどの特別な機会と条件付きで許可されている。社内では禁止で外では飲酒OKというわけなのだが、税務署勤務のナタリーさんは「仕事をしながら飲んでる人はさすがに居ないけど、お昼に職員食堂で飲んでいる」とのこと。実際のところ規定を遵守するかどうかは個人や職場によるようだ。
二日酔い対策としては、食事中に水もよく飲む、飲酒後寝る前にコカコーラや牛乳、レモン水や炭酸水を飲む、解熱鎮痛剤を服用するなどの方法が挙げられた。飲酒前に何か対策をするという声は聞かれなかった。