大手ホテル予約サイトであるExpedia社の調査によると、2007年から2013年までの間、調査対象の25カ国の中で日本の有給取得率は7年連続最下位という結果となった。また、長期休暇を取る人の割合も最下位で、有給休暇取得に罪悪感を覚える人の割合は1位という、世界的に見て極端に休暇を取りづらい環境であることがわかっている。この手の話は日本人の中では周知のことであり、有給休暇や長期休暇を取りやすいと噂される国を羨望の眼差しでみている人も多いのではないだろうか。本当に海外では長期休暇が取れるのか、その期間、回数、そして長期休暇中は何をしているのか、長期のバカンスを取ることで有名なフランスに在住するライター、南米ブラジル在住のライター、そしてアメリカ在住のライターがリポートする。

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【フランス】完全に仕事から離れ、のんびり好きなように過ごす

(現地在住ライター 竹内真里

8月も下旬になると徐々にパリの街に人が戻り、新学期スタート前日の公園は久しぶりの再会を喜ぶ人々の姿で溢れ、まるで真夏のビーチのような賑わいだった。

さて、バカンス大国とも言えるフランスの有給休暇は5週間ある。取り方は個人にもよるが、夏は長めに3週間ほど取り、残りはクリスマスや他の時期に分けて休むのが一般的のようだ。多くの人がバカンス中に仕事を持ち込まず、「完全に」仕事から離れる。

過ごし方もさまざまだが、あちこちに移動して観光するよりも1か所滞在系が多く、子供がいる家庭ほどその傾向が強い。例えばパリに住んでいて田舎に別荘を持っている人は豊かな自然の中でハイキング、自転車、湖で泳ぐ、釣り、ビーチで寝っ転がって日焼け、読書などをしながら、のんびりとしたペースで過ごす。地元のマルシェに行き、その土地の食材で料理をして、普段より時間をかけてゆっくり食事をする。別荘がなくともアパートや一軒家を借りて同様の過ごし方をする。静かで穏やかな環境を満喫するのだ。また、国内にはキャンプ場はもちろん、バカンス用に数多くの滞在施設がある。プール、テニスコート、ヨガなどのクラスや子供向けの活動やゲームが企画されていて、飽きずに楽しく過ごせる工夫がされている。

では独身組はどうか。筆者の知人においては夏休みは取らず、秋に兄弟姉妹で日本を旅行、友人同士でニューヨークに行く、というように時期をずらして海外旅行派だった。

誰にも遠慮することなく皆が堂々と長期休暇を取得する権利がある。実際休んでも国はまわっている。いつか日本にも変化が起きるだろうか。

【ブラジル】ブラジルの新年はカーニバル明けに始まる

(現地在住ライター 増成かおり

ブラジルの労働者は、法律で1年間働くと翌年30日の有給休暇が与えられるうえ、通常の給与に加えてその30%の額が休暇中の手当として支給される。仕事が忙しく休みが取れない場合でも20日間は休まなければならず、残り最大10日分を会社が買い取る。日本では考えられないだろう。

学校に通う子供のいる人は、学校の休みに合わせて休むのが一般的。家族でのんびり過ごしたり帰省したりするが、旅行に行くなら夏は暑い海、冬は寒い山が人気だ。

中には、休暇を別の仕事や勉強のために利用する人もいる。リストラのリスクや生活や将来を考えてのことで、ブラジル人にとってもブラジルで暮らすのはなかなか大変なのだ。

そのブラジルは、12月に始まる夏休みから通常2月にあるカーニバル連休明けまでの期間、国全体がのんびりしてまるで眠っているようになる。この時期に休みを取る人が多く、契約や就職など物事が進まないからだ。ブラジルの新年はカーニバル明けからと言われているのはこのためなのだ。

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【アメリカ】1-2週間の近場で済ませるStaycationも

(現地在住ライター MEEK まゆ

アメリカではちゃんとした職場に勤めていれば休暇を取るのは当然の権利だ。皆取るので申し訳なく思う必要もない。反対に休暇が取りやすくなるようにお互いがお互いをサポートする。シフトを調整したり、週2日の自分の休みを返上して他の人に休みを取らせる。いつかは自分も手伝ってもらえるわけだ。

実際の所は年に30日等と決められており一気に取る人もいるが小分けにして1週間ずつ、2週間ずつと取る人の方が多い。1週間ずつにすれば4-5週は取れ、2週間ずつでも二回は取れるわけだ。勤続年数により休暇を取れる日数も増える。

最近は豪華に海外旅行というよりは近場で済ませる傾向が強い。自分の住んでいる街の隣町やその隣町にわざわざ宿泊し、泊まってみないとわからない楽しさを探してみる。近場なのでその分交通費が浮き他の事にお金が回せるわけだ。経済の悪化がこの現象を招いていると思われる。「バケーション(Vacation)」ではなく「ステイケーション(Staycation)」と言う言葉が生まれたくらいだ。