日本においてはオリンピックは一大イベントであり、メダルをかけて争う人気競技は国民総出で応援する熱狂ぶりだ。実際、ロンドンオリンピックで大盛り上がりを見せた女子サッカーの最高視聴率は30.2%と、国民のおよそ3分の1の世帯が放送を見ていた計算になる。また、東京オリンピックを控えていることもあって、リオオリンピックのことを聞かない日はないが、海外ではオリンピック人気はどうなっているのだろうか。海外の反応を、前回オリンピックを開催したイギリス在住のライターと、ドーピング問題で揺れるロシア在住のライターがリポートする。
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国境を越えて楽しめるイベントに期待
(現地在住ライター バックリー佳菜子)前回2012年夏季オリンピックのホストであったイギリスでも、今回のリオオリンピック開催に盛り上がっている。BBCではオリンピック専用特設チャンネルを設定しており毎日様々な競技をライブでテレビ観戦できるようになっている。4年前の2012年ロンドンオリンピックではホスト国ということもあり、オリンピック専用チャンネルが複数設置され、複数の競技を同時にライブ中継しており、イギリスではあまりなじみがないようなスポーツでも観戦することができ、とても好評であった。
今年はブラジルでの開催のため、前回のようにすべての競技を中継で放送するわけではなく、現地での報道はやはりイギリス人に人気があるスポーツ(飛び込みや自転車競技等)を主軸にテレビ放送されるのではと思われているが、それでも日本に比べると多くの競技をテレビでも観戦できるため、期待されている。また筆者は2012年のロンドンオリンピックの際、柔道やハンドボール等複数の試合を会場で観戦したがその際、まったくイギリスと関係がない国の試合にも多くのイギリス人が足を運び、国を応援するというよりは、スポーツの祭典であるオリンピックの雰囲気を楽しんでいたのが印象的であった。
欧州各国ではテロ等悲しい事件が報道されることが多い中、国境を越え単純にスポーツを楽しめるオリンピックに注目が集まるのも必然といえるかもしれない。
ロシアは子どもから年寄りまでオリンピックに注目している
(現地在住ライターチェルカーソワ・ユーリヤ)
ロシアは、もともと日常的に夏はサッカー、冬はホッケーというようにスポーツへの関心が高い国である。オリンピック等の大々的なイベントは家族全員でテレビの前に集まり、若者であれば賑わうパブやバー等で仲間と観覧する。オリンピックの時期だけは、朝までやっている店も少なくない。
ロシアではロシア人の選手のみならず全体的にオリンピックを楽しむが、ロシア人の選手の活躍に関しては、オリンピックの数か月前から話題となり、当日は早い帰宅時間を許可する会社もあれば、仕事早く終わらせ、社員全員でオリンピックを見る会社まである。
関心が高いだけに、今回のドーピング問題は国民に大きな打撃を与えた。偽情報だと訴え、反発するものと、きちんと管理をしない国を責めるものと等様々だが、国民的に大きなショックであることは確かである。ロシアで人気があるSNSでは、「スポーツこそフェアに戦い、政治を混ぜないためのイベントであるのだから、それを忘れないで欲しい」というコメントを残している若者が多い。また、一生をかけて練習してきた選手が気の毒だという声もたくさんある。
今回のオリンピックの注目選手は、オルガ・ザベリンスカヤ、ベスラン・ムドラノフ、またセルゲイ・ユリエヴィチ等である。出られる選手には精一杯頑張って欲しいというのが国民の声である。
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