この数年急速に友好関係が進んでいた韓国と中国だが、アメリカのTHAADミサイルが韓国に設置されることが決定してからというもの、一気にヒビが入った。中国ホテルの玄関入口に韓国国旗がしかれたり、中国政府は国内旅行会社に対して韓国への旅行商品販売を禁止する命令を下したりと、官民挙げて反韓に動きを見せている。

これらの自体を韓国人はどのように受けとめているのか、また、そもそも韓国は中国という国をどのようにみているのか。

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歴史的背景とプライドが引き起こした反中感情

(現地在住ライター キム・ヒョンジ

中国をどのように思うかと問われて「中国が好きだ」と答える韓国人は少ない。直近の世論調査では、日本を抜いて中国が嫌いな国で2位となった。従来の嫌いな国調査では、北朝鮮が1位で日本が2位、中国が3位に位置していた。

それぞれ嫌いな理由は異なっており、北朝鮮が嫌いな理由は言うまでもないが、日本が嫌いな理由は、反日教育の賜物と言って良いだろう。しかし、それは日本政府が嫌いであって、逆に日本の文化コンテンツや日本人の民度に対しては憧れに近いものがある。

だが中国に対しては、反中教育を行っていないにも拘わらず常に3位だったのだ。その背景は大きくわけて二つある。一つは歴史的な要因だ。中国は朝鮮を長きに渡って属国とし、格下に置いてきた。そして、朝鮮戦争の際には、朝鮮半島を共産圏にしようと北朝鮮軍に加勢し、多くの韓国人を殺したという事実がある。

もう一つの要因は、韓国は中国よりも発展した国なのだという韓国人の自負だ。韓国は中国よりも早く高度経済成長を成し遂げ、欧米の文化が急激に流入した。その結果、国の品位だけでなく民度でも、中国を追い越していると考えている人が多い。

かつて韓国を格下に扱ってきた中国を今では追い抜いたという認識があったにも関わらず、近年大国に返り咲いた中国にまたいいように扱われはじめているということが反中感情に繋がっている。

今回のTHAAD問題では、中国政府が主導して韓国に経済制裁をかけている。この事は、中国政府が韓国を格下に見ている証拠であると韓国では考えられている。そして、韓国国民の中国嫌いが爆発したのだ。