2月17日、サムスンの事実上のトップである、李在鎔(イ・ジェヨン)氏が贈賄の疑いで逮捕された。グループ資産総額50兆円以上、韓国GDPの約20%を稼ぎ出す、韓国経済の象徴的企業であるサムスングループの総帥逮捕は韓国国内でどのように受け止められたのか、韓国在住ライターが現地での報道のされ方と現地民の反応をリポートする。
評価は二分。大衆迎合的逮捕との批判も
(現地在住ライター キム・ヒョンジ)サムスン電子副会長のイ・ジェヨン氏が2月17日に逮捕された。イ・ジェヨン氏は、創業者の孫にあたりサムスン財閥の実質的な総帥である。このニュースは、韓国内に大きな衝撃を与えた。そして、この逮捕については、評価が二分している。
大きく分けると民意の勝利だと評価するものと、大衆迎合型の逮捕だと批判するものに分かれる。
民意の勝利と評価する意見の多くは、パク・クネ大統領を弾劾まで迫ったロウソク集会の人々によるものだ。チェ・スンシルゲートに絡む一連の事件で、パク・クネ大統領だけでなく、韓国一の財閥まで国民の力で留置場に送るのだというヒステリックなまでの感情の表れである。
今回の逮捕に至るまで、2回の逮捕状請求がなされたが、1回目は却下されている。その際には、却下した判事に対して、「サムスンからお金を貰っている」、「息子はサムスンへの就職が決まったそうだ」など根も葉もないことが、ネット上に飛び交ったのだ。そして、今回逮捕を認めた判事に対しては、称賛の嵐だ。また、この捜査を進めている特別検察チームは、国会で任命された言わば大衆迎合型の検察チームだ。それ故に、民意に沿うものであれば無理をしてでも押し通す傾向がうかがえる。
一方、逮捕に批判的な意見を発しているのは、保守系の人々と経済界である。1回目の逮捕状請求が却下されていることからもわかる通り、イ・ジェヨン氏の容疑が逮捕すべきものなのか疑問視する意見も多い。そして、韓国最大の財閥であるサムスングループトップの逮捕が韓国経済に悪影響を及ぼす可能性も懸念されている。
このように、今回のサムスントップの逮捕事件について、韓国国内では称賛と批判が入り乱れている状況だ。