ウォークマンや燃費良いの車など、日本企業が生み出した最新技術が世界を席巻したのは紛れもない事実だ。だが現在では、ソニーやパナソニック、東芝といった日本の大手家電メーカーを合わせても韓国サムスンの時価総額には遠く及ばず(サムスンの時価総額はトヨタよりも大きい)、日本のモノづくりの象徴である三菱重工業が客船事業で大赤字を出し航空機事業で度重なる不具合が発生したりと、ネガティブな話題が相次いでいる。
日本のテレビやニュースではやたらと「世界最先端の日本の技術を」と唱えるが、海外では未だに日本の技術が世界トップであると思われているのだろうか。海外現地在住ライターがリポートする。
目次
【アメリカ】激化する価格競争に取り残された日本企業
(現地在住ライター 長谷川サツキ)「日本の製品ならば安心」という風潮は確かにあったし、いまも日本製品は良いものが多いと感じている人は多い。日本製品を持つことをステータスと考え、日本製品しか買わないアメリカ人もいる。しかし日本が生み出す製品には「安心感」と一緒に必ずセットでついてくるもうひとつのイメージがある。それは「日本製品は何でも高い」だ。
家電業界をはじめ日本の技術力が大いに評価されていた分野に、今や韓国や台湾などの新しい企業が次々と参入している。その結果価格競争が激化し、特にパソコンや液晶テレビといった分野では日本企業は下がり続ける価格についていけず取り残された感がある。日本人として日本企業に貢献したい気持ちはやまやまだが、値段を見るとどうしても二の足を踏んでしまう。スマホに至っては日本製品を見つけることの方が困難だ。
他の企業の技術力が飛躍的に向上したことで、高い日本製品をわざわざ購入しなくても十分満足できるスペックの製品が手に入る時代になった。日本企業が価格競争に対応するために勝負する分野を絞ってきたことで、各業界で目にする日本製品の数もますます減少。日本企業にとって、アメリカはかつてに比べ厳しい市場になったことは間違いないようだ。
【イギリス】失速している印象の日本製品や技術力
(現地在住ライター バックリー佳菜子)
筆者の住むイギリスにはトヨタ、日産やホンダなど車関係や日立を始めとする鉄道関係の日本の製造業の拠点も多く、またソニーのような家電製品も一般に流通しており、まだ技術力の高い日本というイメージは残っている。しかしながら20年ほど前と比べると明らかに失速しているという印象だ。
例えば以前は手ごろな値段で高性能の小型車といえばトヨタやホンダなど日本車の代名詞だったが、最近はイギリス国内でもKia motorやHyundaiなど韓国車ディーラーがあちこちにでき、手ごろな小型車のイメージというと韓国車になりつつある。また家電でも日本製品は値段が比較的高く、あっと驚くような機能性もないため、どうしても他国のブランドに負けている印象だ。
【アフリカ】憧れの日本製品には手が届かず!?
(現地在住ライター Sanogo Miyu)アフリカの一般家庭では洗濯機や炊飯器などの電化製品があまり普及しておらず、一番身近な日本製品はやはり自動車である。コートジボワールではタクシーの90%がトヨタカローラなのだ。頑丈で壊れにくいと定評の日本車は中古車でも値が落ちず中国・韓国車の新車よりも高額で売買される。
ただ現実問題、現地の人々には手が届かず見た目は日本車と変わらず手頃な金額で購入できる韓国のヒュンダイ車の人気が高い。中国車は長期ローンで購入できるので現地の人々には手が届きやすい。
TVや冷蔵庫、携帯電話においては韓国のサムスン製品の勢いは止まらない。日本製品は良質だという認識は高いが、「日本と同じような国」というイメージの韓国製品に圧倒されている現状。中にはサムスンやヒュンダイを日本メーカーだと勘違いしている人もいるのではないだろうか。