安倍晋三総理の在任歴が1800日を超え、史上6番目に在任歴が長かった中曽根元総理を抜いた。支持率も60%以上と、異例の安定長期政権を築いている。
2014年にはアベノミクスを標語として日本経済を立て直す強いリーダーとして、米TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれるなど、海外での注目度も高いことが伺える。一方、安倍総理の発言がかつての日本の軍国主義を彷彿させるとの批判や脅威論もある。
海外における安倍晋三総理の知名度、評判はどうなのか、海外現地在住ライターがリポートする。
目次
【韓国】安倍総理は知名度NO.1の政治家であると言える
(現地在住ライター キム・ヒョンジ)韓国での安倍総理の評価は、興味深いものが有る。就任当初から「極右政権だ!」「日本帝国主義の再来だ!」などと韓国のマスメディアは揃って安倍総理の批判をしていた。アベノミクスに対しても、日本の野党が言っていることをそのまま報道している感じで批判するだけだった。
しかし、今年の春過ぎから、大学の新卒者の就職率の回復やアルバイトの時給の違いに至るまで、日本と比較する若者が増え始め、アベノミクスを評価する意見が少しずつ出て来た。そして、熊本地震や最近の福島地震での政府の対応と安倍総理のリーダーシップが評価を得ているのだ。イ・ミョンバク政権時代から続く長い不況と政権の混乱の続く中、韓国国民は強いリーダーシップを持った指導者を求めている事が窺える。
【アメリカ】2016年は安倍総理の知名度が飛躍的にアップした年
(現地在住ライター 長谷川サツキ)
日本人にとってオバマ大統領は最も知名度の高いアメリカ人の一人だ。しかしアメリカ人にとっての安倍総理の知名度は残念ながらほぼゼロ。ニュースを読み込んでいる人でも名前の読み方が分からず「エーベー」「エイブ」などと呼ぶ始末で、当然アベノミクスという言葉も全く知られていなかった。
それが安倍総理の名前が以前よりもアメリカ人に浸透したのは、リオオリンピックの「アベマリオ」の影響だ。ポップカルチャーを前面に押し出した日本の演出はアメリカでもクールだと大好評だった上、そのキャラクターをお堅い日本の総理が演じたということで大いに話題となった。さらにこの度の真珠湾訪問も大きな注目を浴びており、今年はアメリカにおける安倍総理の知名度が飛躍的に上がった年といって差し支えなさそうだ。
【海外の反応】リオ閉会式での安倍マリオに対する海外メディアの反応
【ロシア】安倍総理の知名度は高いが、具体的な情報はあまり知られていない
(現地在住ライター チェルカーソワ・ユーリヤ)ロシアでは当然安倍晋三総理の名前は知られており、日露関係の話題があがるたびに安倍総理に期待したいなどと話す人が多い。しかし、安倍総理の具体的な体制や活動などは一般にはあまり知られていないばかりか、多くの人は興味もそこまで示していないのが現状である。
ちなみにアベノミクスはきちんとロシア語に訳されており、ロシア語のウイキペディアに出ているだけでなく、ネット上では話題にされることもしばしばある。内容は「アベノミクスは失敗か、成功か」や「アベノミクスから学べる6つのこと」などである。ただ、決してまだまだ誰もが理解するようなロシア語にはなっておらず、一般の政治専門家でも日本研究科でもない人に問いかけたところで、知っていることは珍しい。