日本では「お客様は神様」という感覚が一般的であり、その結果、日本のサービスは傑出しているといわれる。一方、日本でサービスを受けることに慣れてしまっているがために、海外のレストランやホテルでのサービスに不満を持つということも少なくない。
海外ではテーブルでお会計をすることが当たり前であったり、チップを支払うことが暗黙のルールとなっている国もあるなど、日本人には習慣として理解しづらいマナーもある。
これらの不一致が元になり、日本人客が海外で嫌われているというような状況はないのだろうか。例えば、過剰なサービスを要求したり、サービスに満足していない等の理由でチップを渋ったりしていないだろうか。海外現地在住ライターがリポートする。
目次
【ドイツ】集団となると気が付かない日本人団体ツアー客
(現地在住ライター KANAKO K)ベルリン中心部に構えるレストランとなると、世界各国からの観光客やビジネスパーソンが訪れ様々な人種で賑わうのが日常だ。それでもレストランでのマナーの基準は大方一致している。しかし集団となると少々の差異が生まれるものだ。
筆者がスタッフとしてレストランで働いていた際、中でも日本人団体ツアー客には驚かされた。店内はジャズの流れるちょっぴり高級感あるダイニング。50-60代の男性が8割ほどの団体、まず入店時の挨拶に反応がないことが最初の違和感であった。他のスタッフは日本人の「礼儀正しい」というイメージに期待を持って気持ちのいい挨拶で迎えたが残念な事に完全スルー。
食事がスタートしてからは店内の雰囲気に合わない会話のトーン、女性配膳スタッフに対するホステスのようなサービス要求、日本人スタッフへ遠慮のない個人に関する質問など、お酒も進んでか、まるで日本の居酒屋かと見紛うほどだ。
極めつけは食事の最後の「手締め」。さすがに他のお客様の迷惑になると思って止めに行くが間に合わず。前払いで支払い済みだったこともありチップは無し。
ヨーロッパを中心に様々な国から訪れる団体客に対応してきたが、日本人との大きな違いを感じたのは、スタッフと客が対等に見れないという文化の差だ。同じ日本人同士なら、その差を感じ取ることは容易だが、ヨーロッパ人のスタッフにとっては全くの「驚き」でしかないだろう。海外旅行での「集団」は良くも悪くも、ひょっとしたら気が大きくなってしまうものなのかもしれない。
【アメリカ】慣れない風習のためにマナー違反となりがちな「店員の呼び出し」
(現地在住ライター 長谷川サツキ)
アメリカ人にとって、日本人は「礼儀正しく、謙虚で勤勉な人々」として非常にイメージが良い。ただし国が異なればレストランでのマナーやサービスも異なる。慣れない風習やルールのために、アメリカ人従業員が思わず眉をしかめるようなシーンも起こってしまう。
日本では、注文したい時には呼び出しボタンを押したり「すみませーん!」と店員に声をかけるのが一般的だ。しかしアメリカに呼び出しボタンはない。すると日本人は手をあげて「エクスキューズ・ミー!」と声を張り上げ店員を呼ぼうとするが、これはアメリカでは頂けない行為なのだ。
アメリカでは各テーブルに担当者が決まっており、その人が回ってくるのを待って注文しなければならない。担当者以外に声をかけた場合には無視されることすらある。しばらく待っていれば必ず担当者が来てくれるので、それまでゆったりと会話など楽しみながら待っていてほしい。