これまでは野生動物が出現しなかったようなハイキングコース等で熊やイノシシ、猿といった大型野生動物が現れ、人間を襲った事件に関する報道が増えている。海外でも同様に、野生動物に襲われるということはあるのか。また、どのような危険野生動物がいるのか、現地在住ライターがリポートする。
目次
【コートジボワール】食べるか食べられるか?危険なワニ
(現地在住ライター Sanogo Miyu)野生動物の多い東アフリカではカバに襲われて亡くなる人も多いと聞くが、ここコートジボワールはワニに襲われて亡くなる人が年間に数人はいる。と、言うのもコートジボワールの首都ヤムスクロには初代大統領ウフェ・ボワニが建てた大統領官邸があり、ウフェ・ボワニが愛したワニ達のために造られたお堀のような人口湖、現在はワニ園があるのだ。度々、このワニ園から脱走するワニが住民を襲う事件が起こる。
数年前には飼育員がワニの餌付けのデモンストレーションの最中に大勢の観光客の前でワニに足を取られ湖に引きずり込まれ食べられてしまう事件が起きた。これはYouTubeなどでも公開され国民に衝撃を与えた。アビジャンでもラグーナにワニが生息しているので現地人にとってワニは食べるか食べられるかの身近な存在である。
【アメリカ】頭真っ白!カリフォルニアで遭遇した2種類の野生動物
(現地在住ライター 長谷川サツキ)
カリフォルニアに住んでいた頃の話だ。広大な自然公園が近くにある影響もあって、人に危害を加えうる身近な野生動物は2種類いた。それはコヨーテとピューマだ。
コヨーテは大型の野犬のような風貌をしており、オオカミに近い。2、3頭の小さな群れで活動していることが多く、夕暮れなどは近所でもしばしば見かけた。アパート入居時は「ペットはコヨーテに食べられてしまう危険があるので室内から出さないように」と言われたのを覚えている。人が命を落とすほどの事件はごくわずかだが、コヨーテの襲撃事件はたびたび報告されている。
そしてコヨーテより恐ろしいのがピューマだ。コヨーテほど頻繁には見かけないものの殺傷力が非常に高く、万一襲われれば人間はひとたまりもない。街中ではめったに見かけないはずなのだが、一度夜間の大学キャンパス内で遭遇してしまったことがある。動物園でしか見たことのない大型獣と至近距離で目が合ってしまった時は、体が凍りつき頭が真っ白になった。幸いお腹がすいていなかったのかゆったりとした足取りで去って行ってくれたのが、今思い出しても冷汗が出る体験だった。
【台湾】台湾で注意すべき意外な動物とは?
(現地在住ライター 山田純)台湾には台湾観光局のマスコットキャラクターにもなっている台湾黑熊(タイワンツキノワグマ)と言う野生の熊がいる。しかし、そのタイワンツキノワグマが人間を襲ったなどというニュースは筆者が台湾に住み始めて8年ほどになるが一度も聞いたことがない。もちろん登山やハイキングなどで山に入る場合は注意せねばならないだろうが、日常生活でもっと注意しなければならない動物が他にいるのだ。
それは犬だ。冗談ではない。台湾の野犬は本当に恐ろしいのだ。群れを成し、走行中のバイクにさえ歯をむき出しにして襲い掛かる。今年6月には2歳の子どもが6頭もの野犬に襲われ、全身百箇所以上の傷、耳部断裂など、大怪我を負う事件があった。また台湾では飼い犬を放し飼いにする家庭が多く、余所の飼い犬に噛まれるトラブルも頻繁に起こる。実際、筆者も近所の野放しにされた飼い犬に足を噛まれたことがある。
昨年、台湾の国会で動物保護法が改定された。来年から収容された動物の殺処分が禁止されることになっている。動物愛護の精神は非常に素晴らしいが、野犬や放し飼いの飼い犬の実状は愛だけで解決するには余りにも深刻すぎるのではないだろうか。