卓球の福原愛選手が、卓球台湾代表の江宏傑選手との婚姻届けを提出したことがわかった。9月21日には結婚発表会見も予定されている。

結婚をする上で避けては通れないのが、相手方ご両親への挨拶だ。日本人同士の結婚でも緊張するものだが、台湾人との国際結婚ともなれば余計に構えてしまうものだ。中国に長く留学し、中国語も堪能な福原愛選手であれば文化的な理解も深く、向こうの両親との会話も弾むかもしれないが、誰しもがそう上手くいくわけではない。どんなお土産を持っていけば良いのか、どんな服を着れば良いのか、どう接すれば良いのか等、わからないこと尽くしでハードルはぐっと上がる。台湾人の親への挨拶とその後の結婚式、そして海外に住む場合の手続きまで、海外現地在住ライターが実体験をリポートする。

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台湾人と結婚するまでの道のりは意外と険しい!?

(現地在住ライター 山田純

台湾人はいい意味でも、悪い意味でも適当だ。約束をするのもとにかくアバウトで「じゃあ後で」、「では昼過ぎに」、「10時ごろ」などと約束をしても日本人ならば「1時間以内」、「12時から1時の間」、「10時の10分前後」に会えるだろうが、台湾人相手にこの感覚は通じず、かなり待たされるか、最悪会えないこともある。

そして交際相手の親や家族との関係においても、その台湾人の特性は大いに発揮されるのだ。適当な性格に相まって、台湾人はフレンドリーさを兼ね備えている。結婚前から交際相手の親とはまるで友達のように付き合い、デートに親も同伴!なんてことも珍しくない。そういうわけで、「結婚の挨拶」という日本人にとっては一大イベントも台湾人はいつも通り適当に、そしてフレンドリーに済ませるのだ。筆者の結婚の際も夫の両親への挨拶は、と言うよりも「挨拶」などと堅苦しいものではなく、食事の合間に結婚することを報告しただけのようなものだった。ここまで読むと台湾人との結婚は「なんと簡単なんだ!!」と思われるだろうが、緩やかだった道のりは結婚が決まったとたん急に険しいものに変わるのだ。 結婚の日取りは占いで決め、列席者は、料理は、衣装は、会場は、と全てにおいて両親の意見を第一に聞かなければならない。台湾の結婚において最重要視されるのは「親の面子」なのである。

日本のように新郎新婦主体の結婚式、披露宴を行うカップルは台湾ではまだまだ少数派だ。そしてその少数派に属するのが筆者である。文化の違いを受け入れてこその国際結婚なのかもしれないが、筆者はどうしても受け入れられず、台湾の結婚で唯一新郎新婦が主体になれる「婚紗照」と呼ばれる、日本で言う前撮りだけのウェディングを選んだ。

台湾人と結婚した日本人女性の多くは日台の文化の違いを結婚によって突きつけられ、それを涙ながらに受け入れている。占いによって事細かに決定されていく日取り、そして親主体で瞬く間に事が進み、結婚する当人であるにも関わらず感じる疎外感は、結婚を躊躇したくなるほどだ。あの適当さとフレンドリーさは一体どこへ行ったのだ。あんなに平坦だった道のりが突如として絶壁に変わってしまう瞬間だ。しかしその絶壁さえ登りきれば、やはり基本は適当でフレンドリーな台湾人、きっとうまくやっていけることだろう。
 
筆者のように結婚前から台湾に住んでいた場合を除けば、結婚を機に台湾へ移住することになるだろう。台湾に住むためには居留証が必要となり、日本と台湾両国で婚姻手続きを行ったのち、「依親」と呼ばれる配偶者ビザを取得し、晴れて台湾に居住できることとなる。
 
共働きが多い台湾では子どもを親に預けることも多く、また3階建て、4階建ての住宅も多いことから親との二世帯で同居する家庭は多い。そんな中でまた、険しい道のりになることもしばしばあるだろうが、適当でフレンドリーな台湾の人々を見ていると、何とか乗り越えていけそうだなと思うのである。