概要
ローマの富裕層が暮らした古代の遺跡
エルコラーノは、カンパニア州ナポリ県にある街。
79年、ヴェスヴィオ火山の噴火でローマの都市は甚大な被害を受けた。
噴火に見舞われたのは商業都市であるポンペイが有名だが、ここエルコラーノは大量の火山泥流にのみ込まれて、街としての機能を完全に失い消滅してしまった。
しかしながら当時の建築物は炭化したまま保存されており、観光地として不動の人気を誇っている。
噴火当時は大量の灰と水に街中を密閉されたが、それが不幸中の幸いとなり保存状態は非常に良好であった。
住居や浴場、壁画、ブロンズ像が至る所に現状のまま保存されており、当時の生活を垣間見ることができる。
特に遺跡はユネスコの世界遺産に指定され、国内外から多くの人が見物に訪れるスポットだ。
エルコラーノはポンペイに比べると小規模な街だが、富裕層のリゾート地として豪奢な雰囲気を残している。
街を歩けば、当時の豪奢な雰囲気を存分に堪能できることだろう。
遺跡内は、夏期になると非常に日差しが強くなる。
また日陰のある場所が限られているため、訪れる際は帽子やサングラス、飲み物を用意するなどの暑さ対策をおすすめする。
見どころ
①古代の面影を残した街並み
エルコラーノの街は、十字路で仕切られた4つのブロックで構成されている。
まさに碁盤の目のような造りとなっており、綿密な計算で建築された街であることが見て取れる。
石畳や壁、住居などは一部が朽ちているものの、そのままの形で保存されている。
富裕層が暮らしていた地域とあって住居はどれも広々としており、当時の贅沢な暮らしぶりが伺える。
エルコラーノは一歩足を踏み入れると、まるで古代ローマ時代にタイムスリップしたような気分を味わえるのが特徴だ。
2000年前の状態が綺麗に残っているのは大変貴重であり、当時の情景がリアルに想像できることだろう。
発掘は現在も続いており、街の端では地道な発掘作業、および修復作業がおこなわれている。
②海の神々に見守られて
エルコラーノは、ローマの富裕層がこぞって物件を建てていた高級住宅地。ネプトゥーヌスとアムピトリーテーの家(22番の家)はその一角にある。
食堂にある壁画は、海神ネプトゥーヌス(ポセイドン)、その妃であるアムピトリーテーを描いたもの。
注目すべきはその見事なモザイクによる装飾だ。2000年前のものとは思えない鮮やかな色彩と緻密な装飾は、思わず目を見張るものがある。
青を貴重とした色使いが美しく、海の神にふさわしい透明感も魅力だ。
食堂という生活スペースの一つでありながら、内装のこだわりには少しも余念がない。
当時の人々の贅沢な暮らしぶりと、美的感覚の高さがうかがい知れる。
③美しい装飾の大衆浴場
古代ローマ人は、とにかく風呂に入るのが好きだったようだ。
特にヴェスヴィオ火山の周辺には多くのテピダリウム(温浴場)が存在し、当時の人々の拠り所となっていた。
ここエルコラーノも例外ではなく、人々は疲れた体を休め、命の洗濯を楽しんでいたそうだ。
浴場は男性用・女性用と分かれており、脱衣所も別に用意されている。
浴槽も広々としており、湯を張ればすぐに浸かれそうだ。
同じ風呂好きの日本人なら、ここに湯を張って思い切りくつろぐ想像をしてしまうことだろう。
また風呂の床にも緻密な装飾が施されている。
タコやモザイク模様、卍のデザインが敷き詰められ、訪れる人の目を楽しませてくれる。
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エルコラーノの遺跡へのアクセス
エルコラーノの遺跡は、ナポリ中央駅(Stazione di Napoli Centrale)からヴェスヴィオ周遊鉄道(Circumvesuviana)に乗り、エルコラーノ駅(Ercolano)で下車。
遺跡までは徒歩で7分程度とアクセスは極めて良好。
ただしトイレや飲み物は遺跡の入口付近にしかなく、遺跡内はかなり広いため、手洗いや飲み物の確保は入園前に済ませておくのがよい。
ナポリ中央駅(Stazione di Napoli Centrale)からヴェスヴィオ周遊鉄道(Circumvesuviana)-エルコラーノ駅(Ercolano)