香港政府観光局 日本局長
堀 和典 氏
オーストラリア政府観光局 日本局長を経て、2013年から現職。
香港の人気が高まっている要因は何でしょうか
フライト数及び就航空港数の拡大と、メディアでの露出が増えたことが主な要因です。
2015年頃から、LCCを含めた飛行機の供給量と出発地が増えてきており、現在では日本各地16箇所の空港に香港便が就航しており、一週間に400便以上が運行しています。これまで一部の空港に集中していた乗客が各地方空港に分散することで、飛行機の座席に余裕がでて、予約が取りやすくなっています。
また、日本のテレビやSNSでの香港旅行の紹介が増えています。香港のことを熱狂的に好きな人たち「香港迷」(「迷」とは、広東語で熱狂的なファンという意味を表している)が著名人から一般の方まで数多くいらっしゃって、香港の魅力を伝えて頂いています。
若い旅行者が増えている要因はなんですか
昔に比べて個人で旅行される方が増えている中で、個人旅行がしやすい場所として香港に注目が集まっているのだと思います。
個人旅行される方は、移動を自分たちで行うので、移動のしやすさは重要です。香港には世界でも珍しい2階立てのトラムやバス、地下鉄(MTR)、100年以上続いているフェリーなど、公共交通機関が充実しているので移動に困りません。また、公共交通機関は非常に安く利用できて、例えばフェリーは50円ほどで利用できます。
更に、香港は世界で最も安全な都市の一つとされており、安心して個人旅行できます。ちなみに、香港は中国の都市ですが、一国二制度という政治体制がとられており、インターネット環境も日本の環境と変わりません。
■世界経済フォーラム(World Economic Forum) 旅行競争力ランキング2017
・Safety and security (安全面総合)
国名 |
2017年ランキング |
フィンランド
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1位 |
アラブ首長国連邦
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2位 |
アイスランド
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3位 |
オマーン
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4位 |
香港
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5位 |
シンガポール
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6位 |
ノルウェイ
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7位 |
スイス
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8位 |
ルワンダ
|
9位 |
カタール
|
10位 |
(データ参照元:World Economic Forum公式HP)
日本にはどのような印象を持っていますか
日本には親しみがあり、非常に良い印象を持っていると思います。日本のアニメやアイドル、日本食といったコンテンツは香港で人気です。香港の人口は約730万人ですが、香港から年間約220万人も日本に訪れています。
また、実は日本の農産品の輸出先国第一位(輸出額)は香港です。香港では日本ブランドが非常に強く、日本の質の高い食材を非常に好んで消費しています。
もちろん、日本人が観光客として訪れても、とても好意的に見てもらえます。
香港の魅力はなんですか?
フォトジェニックであることが大きな魅力の一つです。
香港の夜景は有名ですよね。香港は、東京都の半分程度の大きさです。更に、総面積の約40%が自然保護地域に指定されており、居住可能な地域は約25%しかないんです。そのため、居住可能な地域の人口密度が高くなり、建物が上に伸びて素晴らしい夜景を作り出すのです。
現在も夜景は進化し続けていて、例えば、夜景観賞のスポットとして昔からビクトリアピークは定番でしたが、現在は118階立てのビル(ICC)の100階にあるスカイ100香港展望台が注目されています。夜景は見る場所によって表情を変えるので、一度ビクトリアピークから夜景を見たことがある人も、是非別の場所から見て頂きたいと思います。
夜景の他にも、伝統的な飲茶のお店、屋台グルメ、お洒落なカフェや、プロのアーティストが手掛ける質の高いストリートアートなど、香港には写真映えするポイントがたくさんあります。
日本から近い立地条件も魅力で、東京からは行きは約4時間30分、帰りは約3時間30分でアクセスできます。3泊程の旅程で来られる方が多く、週末に気軽に行ける国だと言えます。九州などの地域からであれば、東京の観光スポットにアクセスするよりも香港にアクセスする方が時間がかからないこともありますよ。
香港をたのしむコツを教えてください
香港では安価に素晴らしいグルメを楽しめますので、高級で美味しい中国料理だけでなく、ローカルのお店にも挑戦して頂くことがお勧めです。高級な店を掲載しているイメージのある「ミシュランガイド」でも、「ストリートフード」というカテゴリーが設けられていて、安価に食べられる絶品グルメを紹介しています。是非試してみてください。
また、香港はイベントが多いことでも有名です。事前登録して参加するイベントもあれば、ふらっと参加できるイベントもありますので、事前にインターネットでリサーチしておくと楽しいと思います。
実は香港中心部から30分程の近い場所で自然を楽しめますので、例えば午前中に大自然の中でトレッキングを楽しんで、お昼に街に戻ってくるなんてことができます。これまで観光客にはあまり紹介されてきませんでしたが、香港人からは昔から親しまれているお勧めアクティビティです。
どんな人にお勧めしたいか
年齢を問わず楽しめると思います。
香港で食べられる本場の広東料理は、日本で食べる中国料理よりもさっぱりしているので、若い方からご年配の方まで、安心して楽しめると思います。カフェやオープントップのバーなど、お洒落なスポットもたくさんあります。ホテルも、ペニンシュラやマンダリンなどの有名な高級ホテルはもちろん、最近では小規模ですがお洒落なデザイナーズホテルも増えていて、様々なニーズに対応できます。
また、香港が中国に返還されてからの20年間で、街の魅力も随分と変わりました。夜景もそうですし、新たな観光スポットや魅力が次々と誕生しています。一度行ったことがある方にも、今の香港を見にまた戻ってきてほしいと思います。
HowTravelのユーザーにメッセージをください
香港は風水上、良い「気」が流れていると言われています。中国から龍脈(風水上、幸運な気の通り道)が、ネイザンロード、ビクトリアハーバーを通って、ビクトリアピークに抜けていくとされています。香港人は龍脈を通りやすくするために、龍の通るホテルのロビーには何も置かなかったり、大きな門を設けたりしています。街全体が風水上幸運になるように作られているんです。
是非、街全体がパワースポットかつグルメスポットかつフォトジェニックな「アガる香港」に、気分と運気を上げにお越しください!